一般社団法人スポーツ吹矢協会 常務理事 事務局長 
小田部文俊さん(高26期


Profile小田部文俊(おたべふみとし)さん

1974年八幡高校卒業(高26期)
1981年明治学院大学卒業後、大手書店に勤務
1989年株式会社ダイセイコーに入社
2007年一般社団法人日本スポーツ吹矢協会に職員として入る

大学卒業後、大手書店に就職。仕入れから販売など幅広い職務を経験し、出版や通販を手がけていた株式会社ダイセイコーに転職。同社社長が設立し2007年に社団法人として認可された日本スポーツ吹矢協会に入る。奥様とお嬢様の3人暮らし。明治学園中学出身。


誕生から20年足らずで競技人口10万人へと大きく発展してきた『スポーツ吹矢』。
今回は一般社団法人日本スポーツ吹矢協会の常務理事としてご活躍中の小田部さんを訪問し、競技の魅力について語って頂きました。同時に取材陣も体験させてもらって、その面白さや奥深さを実感。関東誠鏡会会員の皆さんにもオススメです!

スポーツ吹矢との不思議な出会い

小田部さんはどのような経緯で日本スポーツ吹矢協会に入られたのでしょうか?

話せば長くなりますが、スポーツ吹矢という競技自体も歴史はまだ18年ですので、このスポーツや協会ができた経緯も併せてご説明したほうがよいと思います。私はもともと、大学を出て出版社に入りたいという希望を持っていたのですが、いろいろあって卒業するときには25歳になってました。ところが当時の出版業界ではほとんど全ての会社に「新卒採用は24歳まで」という年齢制限がありました。そこで迂回してでもなんとか出版業界に入ろうと思い、最初は複数の店舗を持つ大型の書店に就職したんです。仕入れや営業など、さまざまな経験をして、お店の運営なども任されるようにもなりました。
就職して8年ほど経った頃の話です。私の担当していた栃木の店舗を畳むことになり、その店を社員やアルバイトさんを含めて株式会社ダイセイコーという会社に経営委譲することになりました。このダイセイコーという会社は、本屋だけでなく健康食品の通販などさまざまな事業を行なっていた会社でした。私は業務をいかにスムーズに引き継いで貰えるかを考えて、ダイセイコーの社長にお店や顧客の特徴だけでなく、社員やアルバイトさんについても一人ひとりの人となりや長所などを記した手紙をお渡ししました。
すると翌日、社長から連絡があり、私の手紙を読んで感動したと言われました。そして「是非この会社に来ないか」とお誘いを頂きました。これもなにかの縁だと思い、会社を移ることにしました。そしてこの会社に移ったことがスポーツ吹矢と出会うきっかけになったのです。

いいお話ですね。ではダイセイコーさんとスポーツ吹矢の関係はどういったものでしょうか?

実はこの会社の社長は若い頃お身体が弱かった。そこで中国まで行って気功の合宿などにも参加していたんです。ところが自分ひとりではなかなか続かない。やっぱり一人で黙々とやっても楽しくないし、すぐに飽きてしまうのだそうです。そんな折、社長の知り合いのお医者さんに吹矢のコレクターがいらっしゃって、その方から吹矢を教えてもらったところ、吹矢の呼吸法が気功のそれにそっくりなことに気づいた社長は、なんとかこれをスポーツとして広められないかと考え、協会を立ち上げてルールを整備し、自社で用具の販売もしていこうと決めたらしいです。

なるほど。小田部さんは最初から参画されたんですか?

いいえ、私はこの会社に入って総務や人事、社長秘書などさまざまな仕事をしていましたが、スポーツ吹矢など絶対に流行らないと思ってました(笑)。縁日の屋台や忍者ごっこみたいで・・・。ところが実際に自分でやってみるとその面白さに初めて気づいたのです。
会社の一部門からスタートしたスポーツ吹矢ですが、1998年に日本スポーツ吹矢協会を設立した際の会見では、大手新聞社やNHK、民放など大勢のマスコミが取材に来てくれました。また設立当初から会員の皆さんがとても熱心で、「将来国体でも採用してもらおう」と会員の増加にも積極的に動いてくれたんです。そこで本格的な公益活動を目指し、より一層真剣に競技の普及などに取り組むことになりました。そして2007年に文部科学省より社団法人の認可が下りました。この法人化を機に私はこの仕事一本でやらせてもらうことになりました。
この日本スポーツ吹矢協会は今では国内で1,100支部もあり、会員数は49,000人、競技人口は約10万人と言われています。海外ではハワイやタイ、マレーシアにも支部ができていますし、ニュージーランドからも設立要請の話がきています。指導員だけでも2,300名もいる大きな団体へと発展してきています。

「誰でも」「どこでも」「手軽に」が魅力

それでは実際にスポーツ吹矢のルールを教えていただけますでしょうか?

基本的には5m~10m先の円形の的をめがけて息を使って矢を放つスポーツです。ゲーム感覚で楽しんで頂ければ大丈夫ですが、スポーツですから基本動作や型が決められています。まずは礼をして構える。そしてスポーツ吹矢式呼吸法といいますが、三秒で鼻から息を吸って口からゆっくり九秒で吐く。そしてまた三秒で吸って呼吸を止め、1,2,3のタイミングで一気に吹いて飛ばすのです。最初は難しく感じられるかも知れませんが、慣れればなんと言うこともありませんよ。

※筆者も無心で吹いた1回目は中心に当たりましたが、2回目以降は周辺のみ。当てようと意識すればするほど外れていくものらしいです(笑) 


これは楽しいですね!それにほとんど体力は使わないけど、心地よい疲労感もあります。

そうでしょう。やはりこの呼吸法がもっとも特徴的で、完全な腹式呼吸になります。呼吸器だけでなく循環器全体にいい影響を与えます。
介護支援の第一人者でもある大渕修一先生にも、スポーツ吹矢が健康増進に役立つスポーツだとさまざまな場所でおっしゃって頂いてますし、聖路加国際大学名誉理事長の日野原重明先生には当協会の最高顧問になって頂いておりますが、さまざまなところでスポーツ吹矢のことをお話しして下さっています。
また、さまざまな障がいのある方にもこのスポーツ吹矢を楽しんで頂いております。つい先日『第9回障がい者スポーツ吹矢競技会』が開かれ全国から大勢参加されました。

それから競技会のほかに技術の向上を目指し実力認定制度・・・つまり段級位制度を設けています。今は最高位が六段ですが、会員の技術の向上に伴い七段を作るか検討しているところです。私も五段を取得しています。


会員数は49,000人とお聞きしましたが、会員の年齢層はどうなってますか?

仕事をリタイアされた方が多く、会員の80%が60歳以上です。その年齢になると皆、健康というものを意識してきますし、かといっていきなりハードなスポーツはできません。その点、スポーツ吹矢なら簡単に誰でも始められますし、こうした場所で仲間が増えていくことも魅力になっているようです。年配者のスポーツというとゲートボールなどがイメージされやすいと思いますが、大きな違いは個人スポーツというところでしょうか。団体スポーツはどうしてもチームの勝ち負けが重視されてしまいますが、スポーツ吹矢なら自分のペースに合わせて取り組め、上達できるということも魅力になっているようです。(競技会においては団体戦も企画できます)

このブログを読んで始めてみようと思われた方には、どのようにご紹介すればよいでしょうか?

はい、まずは『日本スポーツ吹矢協会』の本部に連絡をください。そうすれば皆さんのお住まいの近くの支部をご紹介します。是非ご連絡をお待ちしております。


ミュージシャン小田部さん(?)

小田部さんはすごく多趣味とお聞きしておりますが・・・

実は中学の同級生にふとがね金太(元ロックバンド「ツイスト」のドラマ兼リーダー)がおりまして、彼とは中学のときにも一緒にステージに立ったこともあります。最近でも一緒にライブをやったんですが、そのときに二人で曲を作りました。YouTubeで「僕たちはまだ人生の途上にあって」と検索すると、ふとがね金太の歌が出てきます。これは作詞が私で、作曲が彼の作品なんです。
私の生き方を詩にしたものなんで、よければ聴いてください。。

それは楽しみですね。本日は本当にありがとうございました!



【編集後記】

  • 今回の取材は日本スポーツ吹矢協会の本部事務所と道場にお邪魔しました。(『日本スポーツ吹矢協会』のホームページは以下に記載) 教室では多くの会員の方が練習されていましたが、ぴーんと張り詰めた空気が漂っていました。
  • 筆者をはじめ取材陣も体験させて貰いました。呼吸も深くなり背筋も伸びて、とても気持ちのいいスポーツだと実感しました。機会があれば是非またやってみたいと思いました。
  • 出版社を希望されていた小田部さん。学生時代は文芸作家を志して同人誌に小説やエッセイを発表されたこともあるようです。取材のあとに小田部さんを広報委員会に勧誘させて頂きましたが、多忙につき当分先のことだねとの言葉でした。小田部さん、心よりお待ちしています!(笑)




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