山梨学院大学キャリアセンター主任
冨永秀樹さん(高38期)


Profile冨永秀樹(とみながひでき)さん

1986年八幡高校卒業(高38期)
1990年創価大学卒業(研究室に残る)
1995年資格専門学校講師(公務員講座、資格講座等の講義、指導)
2004年山梨学院大学キャリアセンター職員兼専任講師に就任

大学在学時から(旧)司法試験に挑戦。並行して宅地建物取引主任者(現宅地建物取引士)、行政書士などの資格を取得。その後、都内の資格等専門学校の講師となる。2004年、山梨学院大学の職員兼専任講師となり、公務員試験や各種資格試験の受験指導およびキャリア教育に携わる。


2016年7月某日、新宿バスタにて。山梨学院大学のキャリアセンター職員兼講師として学生の就職・資格取得指導を行っている冨永さんに、昨今の就活事情と学生とのエピソードや若い世代への接し方、さらに、今月の関東誠鏡会総会の実行委員を務める当番期としての意気込みも伺いました。

昨今の就活事情について

現在の就職活動の流れや大学が行っているサポートについて教えてください。

2016年卒業生、2017年卒業生と2年連続で就職活動スケジュールが変更となり、現場では大きな混乱がありました。学生だけでなく、企業側も大変だったと思います。


正味3,4ヶ月での活動になりますので、万全の準備が必要になります。私が所属するキャリアセンターでは、準備段階からエントリー、選考、内々定まで、様々な角度からサポートします。主なサポート内容は
 ・各種資格講座開催
 ・進路指導
 ・履歴書やエントリーシートの添削
 ・論作文指導
 ・面接指導
 ・資格試験等の選択および学習指導
です。
こうしたキャリア指導に加え、私の場合は、講師を務める各種講座の中でも指導を行っています。

では、どのような指導をされているのでしょうか?

様々な学生さんがいらっしゃると思いますが、その接し方で冨永さんが特に心掛けていることはなんですか?

学生一人ひとりの状況に応じて接し方は異なりますが、相手への敬意をもって接するということは変わりませんね。その上で、相互の信頼を築くためにも、「傾聴」「肯定的受容」「共感」がとても重要と感じています。
また、講義では、学生に自信をもってもらうことを第一目的としています。具体的には、講義開始前には理解できなかった問題が、講義後には理解でき、正解できる力「解答力」を得たという「目に見える確実な成長」を実感してもらうことを強く意識しています。
さらに、学生の発言や間違いを一概に否定しないことも心掛けています。どんな発言やミスにも理由がある。そこに着目をして、発言の背景を考えて正解に導き、自信をもってもらうようにしています。講義中に質問をして不正解だったとしても、直ぐに次の人に質問を移すことはしません。

印象に残っている学生とのエピソードなどがあれば教えてください。

時折、相談の際に涙を光らせる学生がいます。ある学生は、高校時代の経験から教員に不信感をもっており、最初は私に対しても、目付き鋭く硬い態度でした。しかし、徐々に信頼をしてくれて、成績も伸びていきました。そしてある資格の受験後の報告の際に、涙を流しながらこれまでの出来事や本音を話してくれたのですが、涙の意味について後日聞いてみたところ、次のように語ってくれました。
「データや結果ではなく、講義や相談等を通じて、僕自身と正面から真剣に向き合ってくれた。そのことが伝わり、自ずと流れた涙だと思います」。

他にこんなエピソードもありました。高校からのサッカー仲間の4人組の学生がいたのですが、講義中、私語やゲームをし、また遅刻なども多かったんです。それでも、どこか光る面もあったので、そこをほめ、能力を開くことを心掛けて語りかけ続けました。資格受験を終えて、彼らからかけられたのが次の言葉でした。
「先生はなぜ俺たちを見放さなかったんですか?」「俺たちが先生の立場だったら、とっくに俺たちを見放してますよ!」
学生の成長、そして相互の信頼関係を実感できた瞬間ですね。

就活支援において、親はどう接するべきか。

就職活動の時、親ができることはなんでしょう?

「傾聴」や「肯定的受容」、「共感」が大切であることは、親子間においても同様です。しかし、親子だからこそ、より難しい面もあります。ただ、それ以上に「待つこと」が重要ではないでしょうか。
親が子に問いかけをしてもすぐに返事がない時がありますよね。そんな時、親の方から「あなたはこういう子だから・・・」と先回りをして答え、決めつけて結論を急ぐことがあるかと思います。しかし、直ぐに返事をしないのは、懸命に考えている時でもあるので、子を信頼し、語り始めてくれるのを静かに待ってあげることがとても大切です。そのうえで、話を始めてくれたら、とにかく聞いてあげて、まずは肯定的に受けとめて、共感を示す。そのことが、親子間の信頼関係を深めていくためにはとても重要だと思います。
また、親子の対話を通じて、「自分自身で答えを出した」という自覚が、次へのステップに繋がっていきます。
さらに、小さなことでも褒めてあげることが大切です。特に、親だからこそよく知る、子の幼少期の出来事や体験を通じた長所の指摘は、本人を勇気づけ、自信をもたらすだけでなく、親子間の信頼を高めます。そのことが、次の挑戦への意欲や力を大きく引き出すはずです。

とはいえ、意外に「ほめる」って難しいですよね。

そうですね~(笑)。ただ、私が多くの若者と接していて、長所のない人はいないですし、短所は他面では長所だとも感じています。なので、短所に見えても長所に置き換えてみてはどうでしょうか。たとえば私は「短気」は「決断力がある」、「呑気」は「物事を慎重に判断できる」と、長所に捉えるようにしています。

若い世代と上手に付き合っていくための、冨永さんなりのコツなどがあれば教えてください。

相手が若い世代や学生であっても、敬意をもって接することがまず第一に重要なことと思っています。また、相手に関心を深くもち、大切にしている考えやその背景をよく知ろうと努めることが重要と感じます。それはもはや、私にとっては無意識的なものであり、また自然なことでもあると感じています。


ためになるお話、ありがとうございました。


8月27日(土)の関東誠鏡会総会が直前に迫ってきました

最後に当番期として、今年の総会のPRをお願いします。

第36回関東誠鏡会のテーマは「輝跡 KISEKI~時を越えて笑顔をつなぐ~」です。「輝跡」と「笑顔」が主題です。総会にはいつも、みなさんの明るく奥深い「笑顔」が輝き、北九州人の懐かしい熱と空気と言葉があふれています。同窓の友と杯を交わし、語り、笑い合った後、「よし、がんばろう!」と次の一歩を強く踏み出すことができるような時空が大きく広がりゆくことをイメージします。  当番期は少人数ですが、相互に補い合い、また先輩方の支えも得ながら懸命に準備を進めています。生涯に一度の貴重な縁。伝統を大切に受け継ぎ、みなの汗と尽力と「笑顔」の結晶をもって、誠鏡の襷(たすき)を次代、また未来へとさらにつないで参りたく思います。。



【編集後記】

  • 冨永さんは大学で公務員講座や資格試験講座を受け持ちつつ、資格関連の著書も複数出版されています。
  • 今回の取材では、35期2名(女性2名)、37期3名(女性2名、男性1名)とたくさんの先輩に囲まれ、タジタジになりながらも、最後まで笑顔を絶やさず、誠実にお応えいただいた冨永さん。なかなか強者です。
  • 取材に立ち合った37期島野さんは、この春長女を社会に送り出した「リアル保護者」。親子で就活を経験した感想、大学への疑問などを遠慮なく冨永さんに突っ込み、取材現場は大いにもりあがりました。
  • 取材場所となった新宿の新スポット「新宿バスタ」。緑が多く、オシャレなお店もたくさんあるので、お散歩やデートなどに使うのもおすすめです。




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