「おやじ日本」理事
石橋昌祐さん(高29期)


Profile石橋昌祐(いしばしまさすけ)さん

1977年八幡高校卒業(高29期)
1982年西南学院大学卒業
大東京火災海上保険株式会社(現あいおいニッセイ同和損害保険)に入社
1989年業界団体への出向を機に東京に異動(1991年より本社に復帰)
2004年長男の高校で「おやじの会」立ち上げ
「おやじ日本」の立ち上げに協力
2014年あいおいニッセイ同和損害調査株式会社常務取締役に就任
杉並区立小学校PTA野球連合協議会会長代行に就任
「おやじ日本」理事に就任

〈職歴〉
大学卒業後、大東京火災海上保険株式会社に入社。熊本市や佐世保市で勤務した後、東京に異動し、企画、サービス部門で活躍。2014年よりあいおいニッセイ同和損害調査株式会社常務取締役。

〈「おやじの会」歴〉
長男が小学生の時に初めて「おやじの会」関わる。その後、長男の高校でも「おやじの会」を設立し活動する一方で、「おやじ日本」立ち上げに協力。2014年より「おやじ日本」の理事としてますます精力的に活動中。


2016年6月某日、「おやじ日本」理事として活躍される高29期の石橋さんをお訪ねし、「おやじ日本」の活動内容やご自身が参加されたきっかけ、「おやじ日本」での活動の魅力についてお話を伺いました。

その前に・・・
■「おやじの会」についての基礎知識
○「おやじの会」とは?(※1)
小中高の学童・生徒の父親を中心とした団体で、同じ学校・地域の子どもの父親同士の親睦を深め、子育てや家庭教育に父親が参加することを目的としている。小中高校や地域を基盤とし、全国に4~5000団体あるとも言われている。

○「おやじ日本」とは?
「おやじ日本」も、数ある「おやじの会」のひとつ。基本的な活動は他団体と変わらないが、各地域の「おやじの会」のネットワーク構築や活動支援も行っている。

  ※1「おやじの会」
  最近は母子家庭に配慮し、別の名称で活動している団体もある。

「おやじの会」の活動について教えてください。

「おやじの会」の活動について具体的に教えてください。

「おやじの会」は全国各地にあり、「子どもたちの健全な育成」「安心・安全なまちづくり」を念頭に活動しています。組織形態は学校単位や地域単位とさまざまで、地域や規模によって活動内容は若干変わってきますが、体験学習(デイキャンプ、銭湯体験等)や安全維持活動(登下校の見守り、防災教室等)、キャリア支援(職業教室等)などを行っているところが多いようです。
その他に、父親同士のネットワーク構築の手助けをすることも「おやじの会」の大切な役目です。家族以外の大人と子どもたちとの関わりが薄れている昨今は、親子の関係はこれまで以上に深くなり、親の役割も重くなっています。ですが、みなさんが自信を持てるわけではない。そんな時は「スクラム」を組めばいいと思っています。そして、親同士がスクラムを組むためにも「おやじの会」の存在は重要だと考えています。


その中での「おやじ日本」の位置づけ・特徴は?

「日本」がついているので、全国の「おやじの会」を束ねている組織だと思われることもありますが、そうではありません。規模の違いはあれ、各団体はすべて横並びで、普段は個々で活動し、時々協力し合うという関係ですね。「おやじ日本」としては、各地域の「おやじの会」のネットワーク構築・強化にも力を入れています。
「おやじ日本」は少し「先を行った」活動が多いのが特徴です。例えば「未来教室」。これは、子どもたちに向けての職業教室で、鉄道、運輸、食品、ゼネコンなどの大手企業から講師を派遣し、毎年約50校で開催しています。私も教壇に立ち、「損害保険とは何?」をテーマに授業を担当しています。

年に数回程度行う団体はありますが、これほどの規模で行っている団体はほとんどないと思います。そのほかには、子どもたちを有害なインターネットサイトから守る「iS(インターネットセーフティ)運動」を率先して行っています。さらに、「おやじ日本全国大会」(※2)が開催されるのも、うちならではかもしれません。


  

※2「おやじ日本全国大会」
毎年テーマを決めて、講演・デモンストレーション・パネルディスカッションなどを実施。14回目の平成28年のテーマは「パラスポーツの未来 ~結構深いぞ 障がい者スポーツ!~」。平成28年6月26日、渋谷区文化総合センター大和田にて開催。


石橋さんが「おやじの会」に参加されたきっかけや経緯を教えてください。

最初のきっかけは長男が小学生の時ですね。地元の野球団体(お父さん野球チーム)に参加して、野球仲間とともに長男の学校で「おやじの会」を立ち上げたのが、活動のはじまりです(※3)。その後、長男が高校生の時に高校でも「おやじの会」を立ち上げ、文化祭で模擬店を出店したり、職業教室を開くなどの活動を行いました。ちょうどその時、「おやじ日本」の立ち上げがあり、所属する野球団体が全面協力することになり、そのまま「おやじ日本」の活動に参加、現在に至ります。

  

※3「おやじの会の設立」
おやじの会の設立には、基盤となる学校や地域に発起人が申請し、許可をもらうことが必要となる。許可を得た後、設立の案内状を保護者に配布、組織作りを行う。多くの地域・学校は、設立に前向きなので反対されることはあまりないという。

「おやじの会」活動の魅力とは?

石橋さん自身、「おやじの会」に参加してよかった事は何ですか?

数えきれませんが、特によかった点はふたつあります。

ひとつは、「子どもについての悩みを共有し合える仲間ができたこと」です。
私自身が父親とあまりいい関係ではなかったこともあり、「自分はいい父親になれるのか?」と悩んだ時期がありました。ですが、「おやじの会」を通じて、同じ地域の同じ年頃の子どもを持つお父さん同士で交流し、愚痴を言い合ったりアドバイスをし合ったりすることで、悩みを解消でき、自信にもつながりました。そうした流れの中で、子どもとの向き合い方も変わったのかもしれません。気がつけば息子も本音で話してくれるようになり、私と私の父親との関係について、息子が「もっとこうすればよかったのに」と話してくれたときは嬉しかったですね。

ふたつ目は、仕事や家庭以外で新たな生き甲斐を見つけられたこと。
定年後も地域に貢献できる道を確保できている。そう言う意味では年を取ってもメリハリのある生活を送れると自負しています。3年後に定年ですが、その後も生活基盤と野球関係、「おやじ日本」の3種類の名刺を持って精力的に活動していきます。

また、自分ではわかりませんが、家内から見るといい意味で「変わった」ようですね。以前は同窓会などの集まりも面倒がっていたのに、今では何かのイベントや会がある時は率先して声をかけるようになったし、いろいろなところに出かけるようになったと。会話も増えましたから、家族も喜んでいます。


「おやじの会」の他の方はどうでしょう?

具体的に感想を聞いたことがないのでハッキリしたことは言えませんが、参加されている方を見ていると、私と同じような気持ちのように思います。例えば、「おやじの会」での夏の暑い最中の草むしりでも、みなさん文句も言わず一生懸命にやっていて、楽しそうなんですよね。誰しも、社会や地域に貢献したい気持ちは何らか持っているわけで、今までチャンスがなかっただけではないかと思うんです。


とはいえ、最初の参加に踏み切るにはハードルを感じる方もいるかもしれません。 躊躇されている方にアドバイスを。

仕事と家庭のほかに、あなたの「世界」にもうひとつ加えてみませんか?
昔は地域で大人が子どもの面倒を見て、みんなで子どもの成長を応援するのが普通でしたよね。私自身も青年団のお兄ちゃん達に面倒を見てもらったことは今でも覚えています。そうした社会貢献は決して難しいことではありませんし、周りを見渡せば、そうしたチャンスもたくさんあるはず。まずは、身近な「おやじの会」や「町内会」などの活動に参加をしてみてください。きっと「世界」が広がりますよ。

最後に同窓生へのメッセージをお願いします。

まずは、在学中の子どもを持つ同窓生の皆さんへお願いします。

距離感を保ちつつも、子どもには大いに関わってください。親は責任を持ってしっかりとしないといけません。また、父親として周りとの関係を上手に構築していってください。子どもが卒業したら終わりではなく、その関係を継続していくことが大切で、いつまでも父親仲間と杯を酌み交わせる楽しい人生が待っています。


子育てを卒業した同窓生の皆さんへはどうですか?

子どもとの関わり以外でも地域とのつながりの場はたくさんあります。町内会のボランティア等々、会社の肩書きを超えた地域のつきあいは楽しいですよ。


これからの子どもを持つであろう、若い同窓生の皆さんへもお願いします。

今の子どもは、早い時期から自分なりの価値観を持っています。子どもの価値観を大切にしながら、親として「転ばぬ先の杖」になってあげられるよう発言していってください。地域をはじめ、「仕事」以外でのコミュニケーションの場を持つことをおすすめします。


とてもためになるお話でした。ありがとうございました。




【編集後記】

  • 「おやじ日本」は、2004年の発足以来、各地の「おやじの会」を支援し、子どもに関する情報提供など幅広く活動。2014年6月、公益の増進に資するものであり、かつ、その運営組織及び事業活動内容が適格であるものとして、国税庁長官より認定特定非営利活動法人の認定を受けるに至りました。
  • 「おやじ日本」だけでなく、息子さんの高校での「おやじの会」のエピソードもたくさん。息子さんの文化祭では焼きそば模擬店で驚異的な売上を記録。一方で、他の店が売れずにお子さんに抗議されたそうです。また、出張の多いお父さんと連携を取り合って全国各地のカップラーメンを集めた模擬店も大好評だったとか。
  • 「おやじ日本全国大会」を間近に控え、準備でお忙しい中の取材でしたが、風邪で声をからしつつも笑顔を絶やさないダンディな先輩でした。




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