折尾から筑豊線で南に2駅、永犬丸からはトンネルをくぐったすぐそこにある中間市。
そこには、世界遺産をはじめとして、北九州の発展にも関連した歴史を感じる場所が多くあります。
故郷に帰省した際、偶にはちょっと足を延ばして新しい発見をしてみませんか?
中間市出身の高47期伊東が、中間市の公式キャラクターの【なかっぱ】や、中間市のご当地ヒーロー【ナッカマン】にも登場していただきながら、中間市の見どころをご紹介します。

中間市も八幡高校に通える学区内です


中間市は、北九州市の西、遠賀郡の南に位置しており、約43,000人が暮らしています(2016年1月現在)。
地図上、黄色で囲った地域が八幡高校も属する「第3学区(八幡東区・八幡西区・若松区・遠賀郡・中間市)※」で、普通科にはこの地域から通学することができます。オレンジ色で囲った地域は、第3学区に加えて理数科に通学できるところです(門司区・小倉北区・小倉南区・戸畑区・豊前市・行橋市・京都郡・築上郡)。
※2007年度に第2学区(門司区)と第3学区(小倉北区・小倉南区・戸畑区)が統合されるまでは、八幡高校は「第4学区」でした。

関東誠鏡会でお会いしている先輩方から、「昔は体育大会が出身中学校別(槻田・高見・大蔵・枝光・中央)の対抗戦だった」「同級生に中間市の人っていたかなぁ?」と言ったお話を聞くにつれ、「いつから中間市から八幡高校に通えるようになったんだろう?」と疑問に思うようになりました。そこで福岡県教育庁に問い合わせてみたところ、「1972年度以降に現在の学区になった」のだそうです。ですので、高26期(1971年度入学)以前の方は「中間って八高に通う地域なんだっけ?」と思われているかも知れませんね。

世界遺産「遠賀川水源地ポンプ室」


2015年7月5日に世界文化遺産に登録決定された「遠賀川水源地ポンプ室」が中間市にあります。「明治日本の産業革命遺産」の構成資産の一つです。
遠賀川から官営八幡製鐵所まで工業用水を送るための施設として1910(明治43)年に操業を開始したこのポンプ室には、イギリスから輸入されたボイラーとエンジンポンプが設置されました。現存する鉱滓レンガ建物としては国内最古のこのポンプ室、設備類は最新の機器に更新されましたが、100年以上経った現在もなお、八幡製鐵所に必要な水の約7割を現役で送水しているそうです。
現役施設ですので中に入って見学することはできませんが、外観を眺めながら明治日本に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。
最寄の「希望が丘高校前駅」(徒歩約10分)を通る筑豊電鉄では、期間限定でポンプ室となかっぱがデザインされたラッピング電車も運行されています。

中間市を一望できる「ボタ山」


ポンプ室の動力としても使われた石炭は、明治から昭和初期にかけて国の重要なエネルギー源として重宝され、筑豊炭田の一翼を担った中間市の発展にも大きく関係しています。資源として使えない捨石「ボタ」が積み重なってできる「ボタ山」ですが、中間にあるものは一見すると自然の山々と見分けがつかないほど大きく、この土地で多くの石炭が採掘されたことの証となっています。
登山口は普段は立ち入り禁止となっていますが、初日の出を拝む際など特別なイベントがある際には開放されます。私は最後に登ってから22年経っていますが、高い建物がない中間市をボタ山から一望するのは爽快です。


ボタ山からの初日の出

治水と輸送の要「堀川」と「中間唐戸」


筑豊炭田から産出される石炭の重要な輸送路だったのが人工運河の「堀川」です。堀川は遠賀川の治水や周辺地域の灌漑のために福岡藩が造ったもので、楠橋(八幡西区)から洞海湾までの12.1kmを結んでいます。
大雨の度に発生する遠賀川の洪水被害を緩和するため、1621(元和7)年に黒田長政の命により堀川の掘削が開始されましたが、途中、長政の死や藩財政の困窮等により中断され、全区間が開通したのは1804(文化元)年のことです。開通後は農業用水としての利用や貨物運搬用の水路としても活用され、水運の拠点であった洞海湾にある若松港と、長崎街道の木屋瀬宿付近の楠橋がつながることにより、物流効率が飛躍的に高まることとなりました。
私は石炭運送のイメージしか堀川に持っていませんでしたが、長崎街道と堀川を絡めた歴史を紐解いてみるのも面白いかも知れません。
なお堀川は、2007年に「近代化産業遺産」の構成資産の一つとなりました。


大正初期の堀川と中間唐戸の様子

その「堀川」には2つの唐戸(水門)があります。木屋瀬宿の近くにある北九州市の指定文化財「寿命(じめ)唐戸」と遠賀川水源地ポンプ室の近くにある福岡県の指定文化財「中間唐戸」です。中間唐戸は1762(宝暦12)年に完成した、遠賀川から堀川へ水を入れるための水門で、遠賀川の水勢に耐えることが出来るよう岩盤の固い土地に建築されています。
大正初期の写真から今は大きく姿が変わっていますが、中間の歴史を伝える象徴として今もひっそりと佇んでいます。
固い岩盤を金槌やノミを使って人力で掘削した光景を思い浮かべながら、江戸時代と現代とが交錯する空間をぜひ楽しんでください。

映画「ALWAYS 三丁目の夕日」のロケ地「遠賀川鉄橋」


「筑豊の石炭を効率よく運搬するために」と、中間市に鉄道が開通したのは1891(明治24)年のことです。筑豊興業鉄道株式会社によって若松-直方に敷設されました。遠賀川に架かる鉄橋を支えるレンガ造りの橋脚は開通当時に造られたものだそうで、映画「ALWAYS 三丁目の夕日」のロケ地にもなりました。私は毎日のようにそのすぐ脇を通って中学校へ行っていましたが、そんな歴史があるものだとは露知らず、じっくり眺めたり遠い時代に思いを巡らせたりすることもありませんでした。帰省した際には機会をつくって訪れてみようと思います。


世界の石像のレプリカが30体もある「屋根のない博物館」


今では知らない人も増えてきたと思いますが、かつて中間から香月までを結ぶ鉄道がありました。当初は石炭輸送のための貨物線として運行していましたが、周辺炭鉱の閉山により、徐々に貨物駅から一般駅へと姿を変えていき、1985年4月1日には廃線となりました。
線路跡の大半は道路になっていますが、中間駅付近は「遊歩道:屋根のない博物館」となっています。そこにはモアイ像やスフィンクスなど、世界の石像のレプリカ30体が点在しています。ポンプ室より先に世界遺産が中間市にあったことはあまり知られていません(?)。


咲き誇る桜が美しい「埴生(はぶ)神社」


中間市内の小中学校出身であれば殆どが遠足で訪れたであろう「垣生(はぶ)公園」内にある神社です。咲き誇る桜がとても綺麗で、毎年3月下旬に開催される「筑前中間さくら祭り」に合わせて訪れる方も多いようです。
世界遺産までのシャトルバスが出ている市営球場のすぐそばにあり、公園の他にも、古墳時代の墓跡「垣生羅漢百穴」や、地物の野菜や果物などが買える「さくら館」、「遠賀川水源地ポンプ室」展が開催中の歴史民俗資料館などが入る「地域交流センター」があり、世界遺産観光と絡めて中間市を堪能できるスポットです。


紅白の梅が見事な「梅安天満宮」


埴生神社が桜ならこちらは梅です。この記事が投稿された頃(2月19日)がちょうど見頃でしょうか。紅白の梅がとても見事で、春先の暖かい日にふらりと参詣するのもおすすめです。


イベントを目指して、いざ!中間市へ


中間市では色々なイベントも行っています。
1月下旬に行われる「ふるさと遠賀川親子たこあげ大会」、4月下旬から遠賀川の河川敷で悠々と泳ぐ鯉のぼり、8月下旬の「筑前中間 川まつり 花火大会」、10月に行われる枝豆狩りや「筑前中間やっちゃれ祭」など、市外の人も勿論楽しめますので、目当てのイベントを狙って帰省するのもよいのではないでしょうか。




今回の記事を作成するにあたり、写真や情報の提供にご協力いただいた【なかっぱ】と【ナッカマン】から、関東誠鏡会会員に向けてメッセージをいただきましたのでご紹介します。

なかっぱからのメッセージ


関東誠鏡会のみなさん、はじめまして!中間市公式キャラクターのなかっぱだぬん!
去年の7月に、中間市にある「遠賀川水源地ポンプ室」が世界遺産に登録されたんだぬん!
市内にはトリックアートを使って写真が撮れるスポットがあったり、なかまブランドのお土産やなかっぱグッズが続々登場したり、中間市はどんどん盛り上がっていってるぬん!
みなさんもぜひぜひ中間市へ遊びにきてぬん!待ってるぬーん!

ナッカマンからのメッセージ


関東誠鏡会のみなさん。中間市のご当地ヒーロー、ナッカマンです。
中間市には、世界遺産や記念撮影スポット以外にも、歴史的な建造物や跡地が沢山あります。他にも、美味しい物が食べられるお店や、楽しくお買い物する場所などもありますので、是非一度中間市に遊びに来てください!
もちろん、不定期で僕たちのショーや撮影会もやっているので、会いに来てね!




いかがでしょう。皆さまの目に留まる情報はありましたでしょうか。
一人でも多くの人が中間市を訪れて、「お?なかなか面白いな、中間市!」と感じてもらえればいいなと思います。

<中間へのアクセス>
・JR折尾 -( 7分 )- 中間 -( 2分 )- 筑前垣生
・筑豊電鉄黒崎駅前 -( 15分 )- 通谷 -( 3分 )- 筑豊中間
・車黒崎から約20分、戸畑・八幡から約30分、若松から約40分



【編集後記】
  • 中間市出身の有名人には、【月形潔】(明治時代の官僚で北海道開拓に携わり、その名は町名にもなっている)、【大野いと】(雑誌「Seventeen」の専属モデルとして活躍し(現在は卒業)、「あまちゃん」などドラマや映画・舞台で女優として活躍中)、【仰木彬】(西鉄ライオンズで活躍し、その後監督としても好成績を残す。イチローの育ての親でもある)、【島田誠】(日本ハムファイターズで活躍し、その後コーチや解説者としても活躍中)、そして言わずと知れた名優【高倉健】などがいます。意外と有名人も出ていますが、市の知名度はなかなか上がってないようです。
    ここ数年、オリジナル焼酎やビール、なかっぱグッズなども取り揃え、観光に力を入れてきているなぁと感じていますが、世界遺産もできたことですし、より多くの人に中間市を知って訪れて感じていただければなぁと思います。
  • 山を造るほどに採れた石炭は、発見した人物に因み「五平太」とも呼ばれたそうですが、一説には、石炭の輸送に使われた「川ひらた」のことを「五平太船」と呼ぶのはそのことに由来しているとのことです。
    福岡県の民謡や郷土芸能に出てくる五平太船にそのような由来があったとは、今回調べてみるまで知りませんでした。まだまだ知らない中間市の歴史がありそうです。
  • ここで紹介しきれなかった写真の数々は、こちらのページでお楽しみいただけます。
     http://kanto-seikyokai.jp/?page_id=5212

【関連リンク】

中間市公式ホームページ
http://www.city.nakama.lg.jp/

中間市公式フェイスブック
https://www.facebook.com/city.nakama.lg.jp

遠賀川水源地ポンプ室へのアクセス
http://www.city.nakama.lg.jp/sangyo/kanko/documents/by_the_public.pdf

中間市観光フェイスブック ~なかま観光カプセル~
https://www.facebook.com/sekaiisancity.nakama.lg.jp/

なかっぱツイッター
https://twitter.com/nakapper

ナッカマンホームページ
http://nakkaman.wix.com/nakkamann





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