~「生きる力」心を込めて~ 
染色家 馬場章子さん(高15期)

Profile

1945年 福岡県北九州市生まれ
1967年 同志社大学文学部 卒業
1980年~ 草木染めを学ぶ
2003年 東京農工大付属科学博物館・伝統工芸会《紅型染め》入会
2007年 京都造形芸術大学通信教育部・芸術部美術科染色コース(染色)入学
2011年 同校卒業 /グループ展 第1回「ケイゾク展」棗ギャラリー(大阪)
2012年 
  個展「祈りつつ」杉並区民ギャラリー(東京)
  第59回 日府展入選(東京都美術館・愛知県立美術館)
  「生きる力」他3点 南相馬市情報交流センターに展示 杉並区災害援助支援活動の一環として(南相馬市)
  グループ展 第2回「ケイゾク展」棗ギャラリー(大阪) シルク博物館・第22回全国染色作品展 入選(横浜)
2013年
  第60回 日府展 新人賞受賞(東京都美術館・愛知県立美術館)
  「アート」を着ようTシャツ展 ギャラリー猫亀屋(大阪市)
  グループ展 第3回「ケイゾク展」棗ギャラリー(大阪)
2014年 グループ展「Textile Exhibition2014」画廊るたん(銀座)

今月は、染色家の馬場章子(高15期)さんにお話を伺いました。馬場さんは、以前から興味があった染色の技術を本格的に習うため、62歳から京都造形芸術大学の通信教育部に入学しました。そこで「ろうけつ染め」の美しさや奥深さに惹かれ、作品を作るようになりました。震災の翌年に、被災地の方々を勇気づけたいと心を込めて製作した作品「祈りつつ」を、杉並区民ギャラリーにて発表しました。その後、杉並区の災害援助協定支援活動の一環として、国指定重要文化財「相馬野馬追」に合わせて南相馬市で展示されました。


ろうけつ染めを始めたきっかけは? 

以前から草木染めや紅型の染色を楽しんでいましたが、62歳になったとき一年発起して京都造形芸術大学の通信教育の染色コースに入学しました。今まで書いたことがないデッサンから学び始めました。普通の大学生のように総合科目のカリキュラムがあり、大変でしたが、いろいろな技法の染色の基礎を学んでいるうちにろうけつ染めの美しさや奥深さに出会いました。

ろうけつ染めの技法について教えてください

ろうけつ染めには、型技法と手書き技法がありますが、この作品は型技法です。 布に図案を描いた後、木に彫刻刀で図柄を彫り凸版を作ります。その凸版に熱い「ろう」を塗り染布の上に置きます。布につけられた「ろう」は固まり(防染)凸版の柄が残ります。他の部分に刷毛で染色し、色を固着させます。この作業工程を何度も繰り返します。 凸版にダンボールの切れ端や竹で出来たクリップを使って偶然の柄を楽しむこともあります。最後に熱湯の中で「ろう」を落とし、ソーピングの後によく水洗いをして乾かし、パネルに張ります。「ろう」をすべて落として水洗いするまで、想像通りに出来ているかどうかわかりません。この「生きる力」の作品は3ヶ月の時間がかかりました。

南相馬市に展示された作品について教えてください。

作品のモチーフは、陸前高田市の奇跡の一本松でした。木の持つ生命力、生きる力をモチーフにして製作した個展「祈りつつ」を杉並区民ギャラリーで開催しました。



被災地の一日も早い復興を祈る気持ちを染色画を通して共有できたらという思いもありました。その後、個展を見て杉並区の方から南相馬市の方に展示したいという話がありました。後日、南相馬市支援コンサート「祈り」で桜井南相馬市長が特別講演にみえたときに歓談しました。「生命のエネルギーと今南相馬市に必要な活力を感じます」とおっしゃってました。被災地の皆さんにこの染色画を見ていただき少しでも元気になって、お役に立てばという小さな願いでした。 国指定重要文化財「相馬野馬追」2012年7月28日~30日に合わせ、杉並区災害援助協定支援活動の一環として南相馬市情報交流センターに展示することになりました。
 


 作品テーマ「生きる力」F100号 

▼作品テーマ「生きる力」
年齢を重ね、凛とした姿でそそり立っている大木は、 大地の中で生命の源である根に支えられている。 春夏秋冬、地上の様々な自然の営みにも順応し、 地中で脈々と生命を育んでいる根、 その一本一本が互いに支えあっている根、 人には見えない所でしっかりと生きている根、 その生命力と力強さに惹かれて・・・・ 生き続ける力を信じて 東日本大震災の復興 共に 祈りつつ 祈りつつ・・・・ 



作品テーマ「祈りつつ」50cm×100cm 三部作

▼作品テーマ「祈りつつ-希望」
津波はどんな色だったのだろう 真っ黒だったと語る人もいる 一本の松はその歴史の瞬間を、その光景を見とどけながら多くの仲間を失った 大地に名を張り凛として立つ一本の松 我々に希望と未来への力を与えてくれる
▼作品テーマ「祈りつつ-再生」 海水を浴びた松は病んでしまった 一本の松は人々に支えられて子孫を残した 緑の松林でこの地を埋めつくそうと願いをこめて
▼作品テーマ「祈りつつ-年月」 風雪を耐えて松は生命を育む 5年、10年、生きた証として年輪は重なっていく 我々もまた共に生きていく 共に 祈りつつ 祈りつつ・・・・

高15期は今年、古希を迎えます。2014年11月13日~14日にホテルニューオータニにて同期とお祝いをするそうです。現在の参加メンバーは、92名です。みなさん、お元気に楽しい時間を過ごされることでしょう。

 写真では本当の色が伝わらないのがとても残念です。作品の持つエネルギーに元気をもらいました。ぜひ今度は、個展おじゃますることにします。 

杉並区広報課 「生きる力」心を込めて作品に!
http://www2.city.suginami.tokyo.jp/library/file/240525kisekinoittuponmatu.pdf#search=’%E9%A6%AC%E5%A0%B4%E7%AB%A0%E5%AD%90+%E7%94%9F%E3%81%8D%E3%82%8B%E5%8A%9B’
  
御忙しい中、インタビューにお付き合いいただきありがとうございました。




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