今回で11回目を迎える「同窓生職業セミナ―」に講師として参加してきました。
本部誠鏡会総会と同じ日に開かれる毎年恒例の行事としてすっかり定着したようです。
関東誠鏡会からは、松本副会長、30期から福元さんも講師として呼ばれていました。松本副会長は、ご専門の法律関係の講義をされ、また、福元さんはニチレイフレッシュの執行役員として、自然・バイオ関連の講義をされました。
セミナーは、それぞれの専門分野別に、公務、法律、医学、教育、電気電子等の分科会に分かれ、その数は全部で19分科会もあります。
各分科会にはそれぞれ二名割り当てられているので、38名の錚々たる講師陣です。


本セミナーの目的は、現役社会人の卒業生が先輩として自分の職業に関する講義を行い、後輩たちである在校生に対して職業ガイダンスをします。
仕事の内容、必要な資格、将来性などの講話を通して進路選択についての考え方、例えば、どういった学部への進路選択が必要か、また、高校時代にやっておくべきことは何か、等のアドバイスも行います。

自分の高校生の頃を振り返ってみると、将来の職業については漠然としていて、何をしたいからどこの大学、どの学部へ進もうなどと具体的に考えてなかったように思います。
それで何となく理学部という曖昧な選択をしました。
もし仮に、高校時代にこのようなセミナーがあったら、私の人生も変わっていたかもしれません。(笑)
そう考えると、とてもいい企画だなぁと思う反面、いいかげんな話はできないなぁとの想いが強くなり、講話の内容をどうすべきかいろいろ悩みました。
プレゼン資料を作成するにあたって、まず30ページ程作り、そこから内容を15ページに絞り、更に、いかに高校生にもわかりやすく説明するか手を加えるという作業を行いました。

私が担当したのは、マルチメディア分科会です。
インテルでの半導体製造の経験や、シリコンバレーでのベンチャービジネスの立ち上げを元に話を進めました。
今の生徒たちは、子供のころからパソコンに触れており、またスマートホン等のマルチメディア機器も自然に使いこなしています。
なので、iPhoneを切り口にして、それを支えている通信技術、ハードウェアやソフトウェア技術をわかりやすく説明すると、食付いてくれるだろうという読みがありました。
「音声をどうやって符号化しているんだろうか」、「画像圧縮って何」、「顔検出ってどうやるの」といった話を続けていくうちに、明らかに生徒の反応が違ってきました。
さすが文部科学省指定の「スーパーサイエンスハイスクール(SSH)」、この手の話にはとても興味があるようで、真剣に聞き入っている生徒たち様子を見たときは、手ごたえを実感した瞬間です。

講話の後半は、シリコンバレーでの経験です。
ここは、Apple、Google、Facebook、Intelなどのトップ企業が生まれた場所で、これらの企業に共通するのは二人の20代の若者が始めた会社だということです。
そのようなベンチャー精神に溢れた街で、私も元インテルの仲間と共に画像処理に特化したベンチャー企業立ち上げにチャレンジした話をしました。
資金調達のために投資家へのプレゼンの工夫や、開発で苦労したことなどを通して、これからの大学生活や社会人になってからどのようなスキルを身につけるべきかを、生徒たちに伝えたつもりです。

講話に続いて質問コーナです。 進路についてや今なにをすべきかなど、多くの質問を受け、生徒たちの積極的な姿勢に質の高さを感じました。

少しでも私のつたない経験が役にたてればと思い講師を引き受けましたが、後日、生徒からの感想を受け取って、「あーやってよかった」と実感です。
以下に生徒からの感想の一部を紹介します。

「今日は自分の目指している職業についてよく知ることができたし、迷っていた大学の学科についても詳しく知ることができました。
私は、昔からパソコンを使うことが好きで、そういう仕事に就きたいと考えていました。残りの高校生活、そして大学での生活は今日聞いたことを生かして、英語力や様々な情報関連の技術、知識を身につけていけたらな、と思います。
今日の講義は、仕事についてだけでなく普段の生活にも生かせるような知識を学べました。」


最後に余談ですが、今回卒業後初めて八幡高校に足を踏み入れました。
グラウンドの周りや中庭に植樹されている木々が鬱蒼として35年の年月を感じさせられました。
35年前はスカスカでしたが…



高30期 仲宗根