イラスト=つかる(高36期)

 みなさん、こんにちは!
 今年の夏は本当に暑かったですね。ひょっとしたら秋が来ないのでは?などと心配になるほどでしたが、10月に入ってようやく涼しくなってきた気がします。

 ところで最近ニュースなどで新幹線が取り上げられることが増えていますよね。
1964年10月1日に開業したということで、ちょうど還暦を迎えたとのこと。
私も同じ1964年生まれ・・・そんなこともあり親しみを感じております。

 私が初めて新幹線に乗ったのは、1973年(昭和48年)。家族で東京に旅行に行ったときでした。まだ山陽新幹線は岡山までしかつながっておらず、八幡駅から岡山駅までは寝台特急『明星2号』に乗っていきました。この『2号』までも憶えているのは、寝台列車に乗るのも初めてだったからだと思います。興奮してなかなか眠れませんでした。
 早朝、岡山駅で新幹線に乗り換えましたが、それはもう今でも鮮明に記憶が残っております。当時はまだ食堂車がなく、売店が軽食も出すようなビュッフェ車両があり、そこでビールを注文した父におつまみにポテトチップスが出てきました。私が生まれて初めてポテトチップスを見たのも食べたのも新幹線の中でした。

 また、このビュッフェ車両には速度計もついており、その動きを見ているだけで楽しかった記憶があります。さらには各車両間には折り畳み式の紙コップと冷水器・・・列車の中で冷たい水が飲めるのも新幹線だけでした。そして生まれて初めて見た富士山・・・これも新幹線の車窓から。当時の新幹線の窓は今の車両の倍くらいの大きさでした。

 その後、1975年から博多までつながった新幹線にも何度か乗りましたが、その頃には食堂車もありました。サーロインステーキという名前の肉を食べたのも、『焼き加減はミディアムで・・・』という言葉を緊張しながら使ったのも新幹線が初めてでした(笑)。

 八高を卒業して大学から関東に出てきましたが、やはり移動は新幹線・・・受験に向かう不安な気持ち、初めて一人暮らしをする覚悟、そして関東に暮らし始めて久しぶりに故郷に戻る高揚感・・・全て新幹線の車両が受け止めてくれていたような気がします。当時は小倉―東京間が6時間半くらいかかっていましたが、むしろ気持ちの整理をするにはちょうどいい感じでした。

 今はなんでも生産性と即時性を求められており、移動時間は極力短く・・・となっています。それには反対しませんが、記憶と景色の両方の思い出をたくさん創ってくれた当時の新幹線がやっぱり今でも忘れられません。
 関東に住んでいらっしゃる皆さんの中には同じような体験をされた方も多いのではないでしょうか?
ではまた!

(新幹線の車中にて書いております)
関東誠鏡会会長 三橋正司