新日鐵住金株式会社 中国支店 建材室 主幹
柳本浩一さん(高37期)

Profile柳本浩一(やなぎもとこういち)さん

1985年 八幡高校卒業(高37期)
1991年 九州大学法学部法律学科卒業、新日本製鐵株式会社(現・新日鐵住金株式会社)に入社

新日本製鐵株式会社に入社後、名古屋製鉄所を皮切りに東京本社~君津製鉄所~本社~東北支店~本社~中国支店と数多くの職場を歴任。現在の広島での単身赴任生活は5年半が経過、述べ10年3か月に及ぶ単身赴任を経験。東京都中野区にご自宅があり奥様と二人の息子さんとの4人家族。
高校時代は演劇部に在籍。向洋中学出身。

4月中旬、広島に単身赴任している柳本さんが東京のご自宅に戻られたところをお邪魔しました。関東誠鏡会の会員にも数多くいらっしゃると思われる単身赴任生活者のベテランとして、快適で健康に暮らすノウハウを伝授して頂きました。単身赴任だけでなく、この春から一人暮らしを始めた大学生の皆さんにもとても参考になる内容でした!

「産業の米」である鉄を通じて世の中に貢献したい

新日鐵に入られたきっかけはなんですか?

なによりも北九州出身者ですから、八幡製鉄には馴染みがありました。また一昔前には「鉄は国家なり」という言葉も流行りましたが、大学を出て自分の仕事を選ぶときに「産業の米」である鉄を通じて世の中に貢献していきたいと真剣に考えて選びました。

現在の仕事について教えて下さい。

入社以来、転勤も多くいろいろな仕事を経験しましたが、今は「新日鐵住金の建材営業」です。広島に拠点をおく中国支店に勤務していまして、中国五県(広島、岡山、山口、島根、鳥取)の建材分野のお客様を対象に、高層ビル、工場、商業施設等建築用の鉄骨資材や港湾、河川、道路等土木分野の鋼矢板、鋼管杭の営業を行っています。オフィスは広島ですが、かなり広いエリアを動き回っています。同地区は同業他社さんのお膝元でもあるので、日々苦戦しながら頑張っております。

規則正しい生活・・・これが基本。

広島での単身赴任生活が5年半経過したと伺いました。どのような暮らしぶりでしょうか?

今の広島の前にも君津製鉄所で2年10か月、東北支店で1年11か月・・・合わせて10年を超える単身赴任の経験があります。もう若くないので(笑)、とにかく健康に留意して規則正しい暮らしを心掛けています。朝5時には起床して約1時間の読書と15分の運動は欠かせません。朝食を摂った後、原爆ドームを右手に見ながら20分ほど歩いて会社へ行きます。7時半には出社して9時くらいまではデスクワークを行い、そしてそこから営業のため外出します。夕方以降はほとんど毎日、人間関係構築のためお客様と食事をしています。でも可能な限り23時までには帰宅するようにしており、24時に就寝を心掛けています。

規則正しいといっても、かなりハードな毎日ですね。

そうですね。ですから食事は大切にしています。とはいえ平日の夜はほとんど外食になりますから、毎日の朝食は勿論のこと、週末に東京の自宅に戻れないときには夕食も自分で作るようにしています。野菜中心にしておりサラダのドレッシングもりんご酢やオリーブオイルを使った自家製ですし、鍋物も市販のものに自分で味噌やトウガラシなどを調合して工夫しています。

単身赴任ライフを快適で健康なものにする心得は?

関東誠鏡会にも単身赴任されている方が数多くいらっしゃるようです。単身赴任のベテランとして快適に過ごすコツというか心得のようなものはありませんか?

参考になるかどうか自信はありませんが、私はどうしても必要なモノ以外は極力持たないように心掛けています。経済的だし部屋を広く使えるし、結果的に掃除や整理整頓も楽になります。スペースを有効に使うために工夫もしています。たとえば折りたたむとソファになるベッドを使っており、睡眠時以外はリビングソファとして活用しています。
読書が趣味ですが、本も買わないようにしており、近くにある広島市立の図書館で借りて毎週5冊を読むようにしています。先週は34期の佐々木繫範先輩が執筆された本を借りて読みました・・・あ、これは買わなきゃまずかったかな?(笑)。



単身赴任ならでは便利グッズなどあれば教えて下さい。

やはり食事に関するものが多いですね。まずは私が「4種の神器」と呼んでいる(笑)・・・冷蔵庫、電子レンジ、オーブン、そしてスムージーマシンです。これらを駆使して料理や野菜ジュースを毎日作っています。
あとは100円ショップでも売っているものばかりですが、野菜サラダ用のボウル・・・水が切れてとても便利です。それからご飯を炊いたりカレーなどを作った場合はタッパーに入れて冷凍庫で保存していますが、ふたに小さな穴が開いているものが便利です。温め直す際に蒸気が抜けてふっくらと出来立てのような味になります。是非お試しください。
また、全てにおいて質素でシンプルなものを心掛けていますが、ウイスキーグラスだけは贅沢してバカラのグラスを使っています。安いお酒でもちょっぴりゴージャスな気分になれますよ(笑)。


健康面で特に気をつかっていることは?

できるだけ歩くよう心掛けています。毎日の通勤も徒歩ですし、週末に東京の自宅に戻れないときには世界遺産の原爆ドーム周辺や宮島弥山の登山など、軽めの運動をかかさず実行するようにしています。それから入浴剤を入れてゆったりと入浴・・・疲れを翌日に残さないようにしています。
そしてスポーツ観戦で気分転換しています。野球ではアメリカから黒田投手がカープに戻ってきて大変な盛り上がりです。サッカーのサンフレッチェ広島の試合も観に行っています。

最初からこのようにしっかりされていたのですか?

いえいえ、いろんな失敗をしました。
たとえばクリーニング・・・忙しいとつい忘れてしまいがちで、朝気づくと着ていくワイシャツが1枚もないということが何度もありました。これは同じ経験をしている人が多いと思います。
それから東京の自宅に戻るときに何を焦ったか羽田発広島着の飛行機をとってしまい、子どもとの約束に間に合わなかったり、また、自宅の鍵を持たずに戻ってしまい家族が帰宅するまで家の前で何時間も立って待っていたり・・・とにかく小さな失敗は数知れずあります。最近では自分の記憶力に自信もなくなってきたので、やるべきことやスケジュールを必ずメモしておくようにしていますし、とにかく時間に余裕をもった計画を立てるよう心掛けています。

離れて暮らしているからこそ感じる、家族のありがたみ

東京のご自宅にはどの程度のペースで帰られていますか?

月に1~2回、部活の試合など子供のスケジュールに合わせて戻るように心掛けています。普段苦労をかけていますので、戻った時には必ず私の手料理で家内を慰労するようにしています。また戻るたびに家内とは晩酌をかねて夜遅くまで宴会のようになります(笑)。
自宅からは東京都庁をはじめ新宿の超高層ビルが目の前に見えます。戻ってくるとやっぱり落ち着きますね。



単身赴任で困ったことはありますか?

実は2011年の東北の大震災の時、私は岡山でお客様とのゴルフコンペの幹事を務めていました。東京に住む家族とはなかなか連絡が取れなくて心配でしたが、大人数が参加しているコンペを中止にすることもできずにそのまま実行しました。本当に心配で心ここにあらずという状態でした。幸いみんな無事でしたが、あとで家内には叱られましたね。
とにかく家族の病気、怪我、そして受験など、家族が困っているときにそこにいてあげられないこと・・・これがもっとも辛いですね。でも逆に一緒に暮らしていたとき以上に家族のありがたさ、感謝の気持ちが深まりました。

今年の関東誠鏡会総会の実行委員長を務めます!

最後になりますが、今年の関東誠鏡会総会・懇親会では実行委員長を務めてらっしゃいますね。大変ではないですか?

大丈夫です!たしかにそろそろ東京に戻れる頃と思っていたのですが見込みが外れてしまいました(笑)。同期の実行委員の仲間には苦労をかけていますが、スマホを活用して出張中でも全員の活動状況や連絡相談事項など小まめにチェックしており、必要に応じてタイムリーに判断、指示ができるよう心掛けています。また事務局メンバーが総会後の38期への引継ぎ会まで詳細スケジュールをたててくれていますので、仕事に支障がないようスムーズに出張やイベントの日程調整ができており助かっています。 総会懇親会の本番の8月29日まで活動期間は残りわずかになってきましたが、一人でも多くの同窓生に参加して頂き、来年以降もまた参加したいと思われるような会になるよう37期一丸となって頑張っております。是非お越し下さいますようお願い致します!

本日はお疲れのところ、本当にありがとうございました!

【編集後記】

  • 全国の単身赴任者の数を直接把握している統計はないようですが、2010年で73万人に及び、特にシニア層で増加傾向と言われております。
    (*記事の最後に該当ページのリンクを掲載しています。以下同様。)
  • 柳本さんの勤める新日鐵住金株式会社。新日本製鐵時代から「金を失う」と読める「鉄」ではなく、「金の王哉」と読める「鐵」の文字が社名に使われています。
  • 広島には二つの世界遺産があります。ひとつは「宮島 厳島神社」。そして「負の世界遺産」とされている「原爆ドーム」。いずれも1996年に文化遺産登録されています。
  • 今年は原爆投下70年。原爆ドームでは耐震工事を含め大規模な工事が行われており、4月25日の工事完了予定まで全体に足場がかかっているようです。
  • 今回のインタビューは第35回関東誠鏡会総会の実行委員長も務めてらっしゃる柳本さんの超過密スケジュールの中で行いました。寝台特急で東京に戻ってきて頂き、朝からインタビュー。その後場所を移して関東誠鏡会総会実行委員会による4時間に及ぶ会議、そして夜には関東誠鏡会の役員や高36期~39期が集まっての合同懇親会と大忙しの一日でした。




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