今回から始まる新しいコーナーです。様々な同窓生にその八高時代を中心にお話をうかがう「同窓生・この人」。 このコーナー最初のゲストは、今年の春に八高を卒業したばかりの高63期 山田瑞季(やまだみずき)さんです。
山田さんはお祖父さん、お母さん、伯母さん、お兄さんが八高出身者という八高一家の娘さんでした。八高のいまの様子を垣間見たインタビュー内容に30年以上の年齢差がある私はいささか驚きながらも、山田さんのしっかりした受け答えが印象に残りました。
しかし、いまの八高生は頑張っているんだなぁ。


小学校から大学まで、学校名をまず教えてください。

八幡小学校~中央中学校~八幡高校と進み、今は多摩美術大学でデザインを学んでいます。

小中学校ではどんな子どもでしたか?

小学校低学年は、外で男の子とよく遊ぶ、活発な子どもでした。三つ上の兄がいたこともあるかもしれません。高学年になると、少し落ち着き、どちらかというと静かな女の子だったと思います。

中学校に進むと、絵やイラストを描くのが好きだったので、美術部に入りました。中学一年の時に、なぜそう思ったのかは忘れてしまいましたが、美大に行こうと思うようになりました。

八幡高校に進学しようと思った理由を教えてください。

美大に行くにも、勉強は必要だと思って、文武両道を謳う八幡高校なら美大を目指しながら勉強もできると考えました。
上本町の家から近かったことや三つ年上の兄や母、伯母、祖父と、身近にたくさん八高出身者がいたこともそう思わせたのかもしれません。

入学する前の八幡高校はどんなイメージでしたか?

オープンスクールに行ってみると、接してくれた八高生が皆優しくて、楽しそうなんですね。そのうえ勉強もできる八高生なわけですから、これはメリハリがついた高校生活を送っているんだろうなと。

そういう八高なら、私も美大を目指しながら勉強も頑張れるだろうと思って、八幡高校に行こうと決めました。

入学して八幡高校のイメージは変わった?

校内で父兄の方や先輩方にお会いしたら、ちゃんと挨拶をするようにと、何度も繰り返して先生に言われました。私は、八高で挨拶が身に付きました。とても良かったと思っています。

想像以上に勉強に重きが置かれていて、部活をしている人はきつそうだなぁと思っていました。メリハリがついた生活を送るのは、そうしないとやっていけないからということもあるんだなと感じました。

八高では、どんな毎日を過ごしていましたか?

私の家は上本町のバス停の近くにあったんですが、毎朝6時に起きて6:40には家を出てました。

八幡西区や若松区、中間市、遠賀郡などもっと遠くから通っていた人はもっと早く起きていたはずです。毎日5時起きという友だちもたくさんいましたよ。バスで通学してたんですが、八高に入って最初にびっくりしたのは、このバスがいつもギュウギュウ詰めだったんです。八幡駅から八高へノンストップで行く直通バスもありましたが、私は途中からだからこれには乗れなくて、43番とか54番の八高行きの臨時バスに乗っていました。この臨時バスは、平日は毎日走っていましたね。(笑)

運悪く満員でこのバスにも乗れなかった場合は、七条まで行って、七条からの八高行き直通バスに乗り換えてました。

八高は通常の6時限の授業のほかに0時限と7時限があるんです。0時限は、月ー金の毎日、7:35~8:20の45分で、日替わりで各教科の授業がありました。7時限は、火曜と木曜の授業が終わった後の50分間の授業のことです。
他に「土曜セミナー」というのもあって、土曜日の午前中に70分の授業が3時限あってました。
3年生になると、火・木の7時限の後に「放課後課外」という8時限目があるんです。

八高は勉強に重点を置いているので、宿題も多いんですね。授業で課題が出るだけじゃなくて、ほぼ毎日、「家庭学習」とか「毎国(毎日の国語)」とかいったプリントが帰りのホームルームとかで配られてました。授業の課題と家庭学習のプリントをやるのに帰宅後一、二時間はかかりました。

それに授業についていくための予習は欠かせませんでした。私は、美大を受験するために美大専門予備校(画塾)にも通っていましたから、予習は土日にまとめてやり、平日は宿題だけやって、12時までには寝るようにしてました。私の場合、寝る時間や画を描く時間をまず取って、食事やお風呂の時間、宿題をやる時間と逆算して何時からこれをやるっていう生活をしてました。

復習をやる時間は取れなかったので、復習しなくてもいいように授業の時は集中して受けるようにしました。

先生も大変だったと思いますが、生徒も死んでました。みんなうつむいていたり、授業中に気がついたら前後左右のクラスメイトが皆寝てたこともありました。

また、授業の初めに「5分テスト」っていうのがあって、いつも緊張感がありました。体育の後は急いで着替えていました。グランドや体育館から教室に戻るとき、3年は3階だからきつかったですね。3年は1階だったらいいのにっていつも思ってました。

「5分テスト」は3年になると範囲が広くなるんです。古文の単語帳は3年間、同じものを使いますが、1年の時は範囲が1~10までだったのが、3年になると1~30までとか。

授業の前の休み時間に単語帳を見ていた時の“瞬間記憶”(!)にずいぶんと助けられました。すきま時間の活用を侮ってはいけない、ということを実感として学びました。休み時間や通学のバスの中で単語帳で単語を覚えたり、宿題をやったりってことです。

 “八高生の必需品”って言われている物があるんですが、なんだと思いますか?「バインダー」なんです。宿題のプリントを挟んで、バスや電車の中でやるためにみんな持ってました。すきま時間活用ツールですね。

おかげでなんとか美大に入ることができましたが、大学入学後はしばらく“燃え尽き症候群”に陥ってしまいましたね。そのとき、八高の3年間は本当に集中していたんだなって思いました。

八高生活で一番楽しかったことは?

休み時間や放課後、教室や廊下で友達とおしゃべりするのが一番の楽しみでした。本当に楽しかったです。

好きな科目はなんでしたか?

数学が一番好きでした。でも、3年になると文2という私大受験コースになったので、国英社が中心で、数学の時間はなくなってしまいました。時折、友人に「教えて」って言われて、家庭学習の数学の問題を解いたりしていましたが、そんな時は楽しかったです。

八高生活の中で誠鏡会の存在を実感したことはありましたか?

やっぱりいろいろと設備を整えていただいたっていうのがあります。入学した時には、すでに各教室にエアコンが設置されていて、夏冬を快適な温度で過ごさせてもらっていましたし、バスも正門に着くようになっていました。もしそうでなかったらと思うと、誠鏡会の有難さを感じずにはいられませんね

私が在学中に実感したのは、「誠鏡プロムナード」というのが作られた時です。本当に便利になって助かりました。バスがつく正門から昇降口に行くには、教室のある校舎と美術室などのある校舎をつなぐ廊下の建物が邪魔して、正門側からいったん通用門まで大回りして行かなければなりませんでした。「誠鏡プロムナード」というのは、その廊下の壁にドアを作り、土足のままでも通れるよう作られた通路のことなんです。創立90周年を記念して、誠鏡会が作ってくれたんですが、短時間で昇降口に回れてとても便利になりました。バス通学していた生徒はみんな感謝していましたよ。

八高で学んだことはなんですか?

忙しい中で自分でメリハリをつけてリズムを作り、そのリズムを維持することやたくさんの課題と生活のバランスを取ること、同じことをやるのでも集中して短時間で効果を上げることができるようになりました。後の後悔をしないために、最初の計画が大切だということも学びましたね。

これらのことは美大に入ってからも大切なこととして意識しています。ただ、美術は、勉強と違って時間も結果も計算できないところがありますが。

卒業して八高をどう思いますか?

振り返ってみると、とにかくキツイ三年間を駆け抜けた感じがあります。余裕のない日々だったとも思います。そうですね、八高は高校+予備校って感じかな。八高で使われる教材やプリントだけで充分勉強できるので、参考書なんて一冊も買わなくて済んだし、とにかく八高で頑張れば、勉強はできるようになります。

八高の後輩たちにいま伝えたいことは?

いい学校だと思います。きつかったけど、学んだこともたくさんありました。この三年間に身についたことがこれからの自分を助けてくれるだろうと思います。

ただ、少し押し付けてくるようなところもあるので、後輩の八高生には自分のやりたいことを自分の意志を持ってやって欲しい。流されないでほしいと思います。

私は、いま学んでいる私立の美大が第一志望だったのですが、合格した後も国公立大学の受験を勧められました。受けませんでしたけど。

いま(将来)の目標は?

美大に入ってみて、自分が何をやりたいのか明確じゃないなと思うようになりました。美大を目指そうと思ってから、イラストレーターになりたいとかデザインをやりたいとか、自分の中で何をやりたいかというのは変わってきたんですね。

いまは、美術の世界を探って、自分の道を見つけるのが目標です。そのためには、いろんなことを見て、体験したいと思っています。

関東誠鏡会総会も、案内をもらって「どんなものか見てみよう。」と思って、出席を決めました。
先輩の皆さん、よろしくお願いします。



インタビューありがとうございました。総会でまたお会いしましょう。





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