今回の「知っとぉ?故郷のこれ!」は、北九州に関する書籍を紹介したいと思います。葉月けめこさんの『笑う地域活性本!北九州の逆襲』(言視舎刊)です。葉月さんの歯切れのよいテンポで、余すところなく北九州の魅力が紹介されています。とても共感しながら楽しく読ませていただきました。この本を通じて改めて故郷「北九州」を再発見できました。

著者・葉月けめこさんは(本書のプロフィールによれば)八幡東区の大蔵生まれの戸畑育ち、戸畑高校ご出身で劇作家・放送作家・作詞家・フリーライターでテレビ・ラジオ・雑誌で活躍されているそうです。

「北九州のイメージはやはり修羅の国?!

みなさんの抱く北九州のイメージといえば、やはり
 「公害の街」、「鉄冷えの街」、「通過都市」、「荒くれ者の街」、「文化がない」
でしょうか?
しかしながら、世の中は変化して、今の北九州を表す言葉は・・・
 「環境都市」、「再生都市」、「アジアの玄関口」、「観光・交流都市」、「映画の街」
だそうです。
故郷を離れて幾年も経つとずいぶんイメージが変わっているものです。
さて、本書では、「修羅の国上等!」の故郷、「北九モン」の正体に迫り、その検証を行い、秘密を探ります。また、私たちのイメージするものとちょっと違ってきている?でも、やっぱり息づいている?故郷を離れ懐かしむ人にとって共感を抱かせつつ、面白可笑しく解説されています。本の中からそのごく一部をかいつまんでみます。


-「北九モン」は福岡の県民性では語れない!

東京で仕事をしているとけっこうな高確率で出身地を聞かれます。
大抵は、こう答えます。
「福岡です!」
私の出身は福岡県。これは間違いではありません。
「北九州です!」と答えた途端、相手の態度が一変する可能性もなきにしもあらずです。
「出身地は福岡」という答え方には北九モンにとってある種の“逃げ”が含まれているんです。
福岡県以外の人から見ればどっちでもいいことなんでしょうが、こと福岡市民、北九州市民にとってはわりと重要な問題なんですよね。
(本書より要約)

確かに、私も北九州を離れて東京で暮らしていると「九州です」とか「福岡です」と答えることが多いです。でも、やはりアイデンティティーは北九州にあるので、福岡と北九州は全然違うんだよな~と、思いながら答えています。
本書では、北九州人の気質と福岡市を中心とする福岡県人の気質との違いを以下のように解説されています。
<北九州人の気質>
 ・目立ちたがリやで祭り好き
 ・ケンカっぱやいがお人よし
 ・義理/人情を重んじる
<福岡人の気質>
 ・目立ちたがリやで祭り好き
 ・おおらかで明るく楽観的
 ・開放的でおだてに弱い
福岡人と北九州人、なんとな~く似ているけど、ちょっと違う、確かに~!と妙に納得させられました。北九州人はさらっとして荒っぽい、頑固で不器用な印象でしょうか?



解いておきたいその誤解!


-博多弁と北九州弁は違うっちゃ!

「すいとーよ」とか「よかろーもん」とか使いませんもんね。博多弁と北九州弁は全く違いますよね。本書では言葉の違いがいろいろと解説されています。やっぱり、北九州弁の言葉の違いは語尾の使い方です。インスタントラーメンの『うまかっちゃん』は博多弁ですが、もしこれが北九州弁だったら、九州ラーメン『おいしいっちゃ』とか『うまいっちゃ』になると・・・改めて考えてみると面白いですね。
北九州弁ひとつとっても故郷を離れて違いがわかることもありますね。


-北九女は気が強い?!

そもそも世の中気の弱い女などいない。東北には東北女性の気の強さがあり、関東には関東の女性の強さがある。と述べる著者。「九州男児」という言葉が先行して九州の男のイメージが作られて語られる中、「九州の女性」のイメージが語られることと思いますが、九州男児の中でも気が荒いといわれる北九男、そんな男たちを支えてきた女性たち・・・果たして北九女は気が強いのか?女性である著者の実経験を踏まえてアンケートをとったところ・・・・・北九州の女性は??さて、答えは本の中で。


-噂の検証!

この本では、そのほかにも北九州のさまざまな魅力が検証されています。
 ・挨拶が慣れ慣れしい?
 ・石を投げたらヤクザに当たる?
 ・成人男性の80%がパンチパーマ?
 ・駅前にヤンキーがたむろしている?
 ・無法松の気配?
県内の暴力団離脱者数が増えていることを挙げ「怖い街」から脱却しつつあると正しく反論。でもね、博多から電車に乗って小倉までやってくると、折尾あたりから確かに何とも言えぬヤンキーがいそうな街の空気感が漂ってきますよね。ちょいワルおやじが流行るように、ちょいワルは魅力的だったのですよね。30数年前のヤンキーのメッカ小倉駅前は様変わりして、洗練された都会風に綺麗になって、今はうんこ座りをしたヤンキーを探しても見つからない。なのに、ヤンキーがいそうな気配がする。これってまさに北九州の個性?として紹介されています。


誇るべき街 北九州!


本書では、故郷を離れて幾十年たって改めて見つめなおした著者による、様々な今の北九州の魅力が紹介されています。同じ境遇といえる故郷を離れ関東で暮らす私にとっても、知らなかったこと、新しくも懐かしい様々な今の「北九州」が新鮮に感じられました。
市民の努力で公害を克服した歴史にも触れ、「ばい煙の空から再生した青空は、努力なしにつかんだ青空よりずっとずっと青い」と力強く語られ、地震発生確率が非常に低く、おいしいものにあふれ、交通ストレスが非常に少ない暮らしやすい街。ドラマティックシティ、映画の街、演劇の街、合唱の街、そしてゆとりある街。関八ブログでもご紹介しました、50歳から住みたいまち全国No1の北九州です。2015年の日経DUALの調べでは「共働き夫婦が子育てしやすい街ランキング」で北九州は全国2位にランクイン。「政令都市では2番目に物価が安い」などなど北九州は魅力満載、その良さに気づいていないのは「北九モン」なのかも知れませんね?

情に厚い、困った人を見ると放っておけない、普段はバラバラでも何かあると一致団結するという「北九モン」の意気込みを感じ、北九州愛にあふれた一冊です。改めて北九州の再発見ができる楽しい本でした。あなたなりの北九州の見方を発見・再認識する機会の一助となればと思います。「出身地は北九州です!」と堂々と言えるように。



【編集後記】
葉月けめこさんは、5月に「かんもん北九州ファンクラブ」でミニ講演をされたそうです。「北九州に関する面白い本がある」とご紹介いただきました高12期の藤城先輩、ありがとうございます。





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