「知っとお?故郷のこれ!」今回は、北九州市で開催された展覧会の紹介です。

「ENCOUNTER 既知との遭遇 -北九州における現代アートの系譜-」
会場 北九州市立美術館黒崎市民ギャラリー
期間 2014年12月25日(木)~2015年1月21日(水)
   ※12月29日から1月3日までは休館
主催 北九州市立美術館
企画 NPO法人 創を考える会・北九州

この展覧会では、長らく美術専門の教育機関がなかった北九州市地区で、美術教師として、または私塾で美術の指導にあたったアーティスト6人と、そこで薫陶を受け、美術の世界へ翔び立ち、現在も活動を続けるアーティストやデザイナー15人の作品計39点が展示されました。

フライヤーのデザインも素敵です。

6人の師を根っこに見立て、枝葉の部分は教え子さんがいろとりどりの豊かな実をつけて大樹となっている。

根っこの養分を糧に、一人ひとりの個性が思い思いに開花しているようで、フライヤーを見るだけでも北九州地区の現代アートの「系譜 ― つながり」が伝わってきます。
裏面では出品者の師弟関係と略歴が紹介されているのですが、2人の師と4人の教え子さんに「八高」つながりを発見しました!

2人の師は、嵯峨山善信先生と松島捷先生。

おふたりとも、八幡高校の美術教師として数多くの生徒さんを指導し、芸術の道へと導いた「師」とのこと。
嵯峨山先生の教え子として、池田久美子さん、古賀章さん、山鹿眞琴さん、松島先生の教え子として樺山祐和さんが紹介されています。
ちょうどいいタイミングで帰省しており、1月4日にこの展覧会を見に行くことができました。
撮影が可能でしたので、八幡高校にゆかりのある作家さんの作品を紹介します。
作品本来の魅力を伝えることは到底できませんが、雰囲気だけでも楽しんでいただけるとうれしいです。

嵯峨山善信先生(1909-1995)

長く八幡高校の美術教師を務め、多くの生徒さんを美術学校に導きました。
2001年5月には北九州美術館で教え子さん達の手によって遺作展が開催され、作品とともに美大受験を控えた生徒さんへ宛てた激励の手紙なども展示されたのだそうです。

池田久美子さん(1948-)

仏像彫刻復元研究家・八幡東区在住
この作品は本来1枚の作品(国宝・聖林寺十一面観音像の光背復元図を用いた作品)なのですが、天井高が足りず、2枚に分けて展示されていました。

古賀章さん(1951-)

木版画家・八幡東区在住
モダンアート協会展、日本版画協会展などに出展してきました。
中央町のジャズカフェで個展を開くなど柔軟な活動を続けています。
http://www.hanganet.jp/hangaka/koga-akira.html

山鹿眞琴さん(1950-)

デザイナー・八幡東区在住
北九州美術館の企画展・印刷物のデザインを数多く手がけています。
写真のポスターのほかに、キースヘリング集などの装幀を手掛けた作品も展示されていました。

松島捷先生(1939-)

八幡西区在住
大里高校、戸畑高校、若松高校、八幡高校、八幡中央高校で美術の教鞭をとり、八幡中央高校では芸術コース創設に尽力しました。 筆者が高校生のときの美術の先生です!

樺山祐和さん(1958-)

武蔵野美術大学油絵学科教授・埼玉県入間市在住
http://profile.musabi.ac.jp/page/KABAYAMA_Sachikazu.html
2014年11月17日(月)~11月27日(木)に銀座NICHE GALLERYで個展があったそうです。そちらにも行きたかったです。


ギャラリーは・・・

油彩やデザイン、映像、立体、インスタレーションなどの幅広い作品が展示され、同じ土俵で腕を磨きあったアーティストのつながりや、師弟関係のさまざまなひろがりを感じる、地元感たっぷりのいい展覧会でした。


北九州市立美術館からのごあいさつに
「調査の期間や会場のスペースが限られていたことにより、出品をお願いする方々を絞り込んでいかざるを得ませんでしたが、展覧会は完結系ではなく、過程をご覧いただく意義もあります。この企画が契機となって、遠く他地域で活動している北九州出身のアーティスト、また北九州に潜在していたアーティストの活動が顕かとなり、市民のみなさまにご紹介できる機会が持てますよう、北九州地域の美術のさらなる拡がりに期待いたしております。」
とありました。
次回はどんなアーティストさんが取りあげられるのでしょうか、続報を楽しみにしたいと思います。

北九州市では、市民が主体となった地域文化の振興を目指して、北九州市で育った人材が地元で活動する場づくり、一旦は市外に出たとしてもUターンできるような環境づくり、優秀な人材を北九州市に取り込む環境づくり、さらには市民が芸術・文化に接する機会を増やすための環境作りなど、さまざまな施策に取り組んでいます。
今回の展覧会の会場:北九州市立美術館黒崎市民ギャラリーは、黒崎駅直結のコムシティ3階に市民の作品を紹介する芸術発信のための施設として2013年にオープンした、北九州市のこれらの取り組みのひとつです。
コムシティには、八幡西区役所、ハローワーク、ゴールド免許センター、夜間・休日急患センターなどの行政施設、コンビニ・飲食店なども入っており、気軽に立ち寄りやすい場所となっています。


【関連リンク】

北九州市立美術館

 http://www.kmma.jp/
 1974(昭和49)年、西日本における公立美術館の先駆けとして戸畑区西鞘ヶ谷町に設立
 1987(昭和62)年、地元作家の発表の場を設ける意図で別館(アネックス)を増築
 2003(平成15)年、小倉城に隣接するリバーウォーク北九州の4・5階に分館を開設
 2013(平成25)年、黒崎駅に隣接するコムシティ3階に市民ギャラリーを開設

NPO法人 創を考える会・北九州

 http://www.sohkai.or.jp/
 創を考える会・北九州は、ものづくりを大切に考え、この街を想像力と創造性を豊かに備えた人々の集まる街にしようと活動を重ねている特定非営利活動(NPO)法人。
 生活に身近な場所に美術作品を展示し、気軽にアートに触れてもらうことを目的として2004年の設立当初から開催している企画展「街じゅうアートin北九州」や、地元の企業と国内外のアーティストとのコラボレーションによる作品の制作・展示、ワークショップの開催など様々な活動を行っています。





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