フリーライター
小林義崇さん(高52期)


Profile小林義崇さん

2000年3月 八幡高校卒業(高52期)
西南学院大学商学部商学科入学
2004年 西南学院大学商学部商学科卒業
東京国税局の国税専門官採用される
2014年 ライターを目指し、ブックライター塾に通う
2017年 東京国税局を退職し、フリーのライターとして活動を始める
2018年 Y-MARK合同会社を設立
2021年 一般社団法人かぶきライフサポートの理事に就任

八高卒業後は西南学院大学商学部商学科に進学。同大学卒業後は東京国税局の国税専門官として採用され、以後、都内の税務署、東京国税局、東京国税不服審判所において、相続税の調査や所得税の確定申告対応等に従事。2017年7月、フリーライターに転身。マネージャンルの記事執筆をはじめ、インタビュー記事作成やセミナーなどを行っている。著書に「すみません、金利ってなんですか?」(サンマーク出版)、「すみません、2DKってなんですか?」(サンマーク出版)、「確定申告〈所得・必要経費・控除〉得なのはどっち?」(河出書房新社)などがある。



2021年9月某日、フリーライターとして活躍する小林義崇さんを取材しました(オンライン)。安定した公務員の仕事から転身した経緯、ライターの仕事の魅力、これから文章を書いてみたい人へのアドバイスなどを伺いました。


まず、ライターってどんなお仕事ですか?

中でもフリーライターとは?

ライターとは、編集者やクライアントから依頼を受け記事を書く仕事です。活躍するフィールドなどによって分類されることもあり、例えば広報やPR記事をメインとする場合は「コピーライター」、エッセイや評論を主として書く場合は「コラムニスト」、また、Webメインで仕事をする人のことを「Webライター」と言う場合もあるようです。文中にも出てくる「ブックライター」は、経営者や政治家、学者、芸能人など、著者となる人に代わり書籍執筆を行う仕事です。
また、「ジャーナリスト」も似た職種ですが、クライアントから依頼された意図や構成に沿った文章を書くライターに対して、ジャーナリストは自分の主観や意見を押し出した文章を書くという大きな違いがあります。
ライターの多くは、特定の企業に所属せずフリーランスで活躍しており、その場合はフリーライターと呼ばれます。私の場合は、金融・ビジネスを得意分野としたフリーライターということになります。


転身のきっかけについて

どんな人生を歩んでこられたのですか?

高校時代は頼まれては参加する形で、気がつけば応援部、生徒会、山岳部と3つも掛け持ちしていました。忙しかったですが、友人にも恵まれ、さまざまな経験ができたのはよかったと思っています。
卒業後は西南学院大学の商学部に入学しました。奨学金とアルバイトでなんとか親には負担をかけずにすみましたが、卒業したら数百万の奨学金を返していかなければならない。就職はどうしようと考えていたら、先輩から公務員をすすめられ、公務員に絞って就職活動をし、最終的に専門職採用でいちばん待遇がよかった東京国税局に入庁しました。
比較的順調にキャリアを積んでいましたが、30歳になったとき「公務員以外の世界を見てみたい」と、ビジネススクールに入学しました。そこで、「自分が本当にやりたいこと」をじっくり考える機会があり、昔、“書く仕事”に憧れていたことを思い出したのです。
ただ「食べていけるイメージ」は全くなく、もやもやした思いを抱えていたとき、偶然見つけたのが「職業、ブックライター。」という本でした。「著者に代わって、本の執筆を行う。そんな仕事があったのか」と興味を持ち、すぐに同著の著者である上阪徹さんに連絡。ちょうどブックライターを養成する塾を開設中で、第1期生として入塾しました。
当時、ライティングは未経験でしたが、それまでの仕事で決裁文書や報告書を書いてきた経験が生かされること、国税局職員という肩書き自体もアピールにもなることを知り、ライターを仕事にしたいと考えるようになったのです。


転身はスムーズに行ったのですか?

いえいえ。いくつもの壁があり、何度も心折れそうになりました。
まず、公務員は副業禁止。副業にならない形で取材に行かせていただいたり、記事を書かせていただきながら、少しずつ準備を進めました。独立して税理士とライターとの二足のわらじも考えましたが、「ライターになるために税理士資格の勉強をしている自分」に矛盾を感じ、資格取得の勉強は1年ほどでやめました。
そして、国税局を辞めることを伝えると、上司は大反対。子どもが小さかったこともあり、「子どもの学費はどうするんだ」と現実的な話をされ、一旦は諦めかけました。
そんなとき、前述の上阪さんのすすめで、ブログを書き始めたところ、「やっぱり書くことって面白いなあ」と再認識しました。さらに、ブログをきっかけに、「独立したら仕事をお願いしたい」とさまざまなオファーをいただくようになり、これなら独立できそうだと腹を括りました。
妻は「決めたなら仕方ないね」と言ってくれましたが、さすがに不安そうでしたね。しかし、頑張り次第で報酬は上がっていくこと、その時点でのおおよその報酬額を材料に話をしたら、納得してくれました。
結局、ライターになると決意してから独立するまで3年かかっていました。


書くことを仕事にして

実際に書くことを職業にしてみて、いかがですか?

小説と違い、読者の方のダイレクトな反応があるわけではありませんが、依頼をくださった編集者さんや企業の期待に応えられたときはやりがいを感じます。むずかしいのはスケジュール管理。時にプレッシャーを感じることはありますが、時間を自由に使える点は自分に合っていると思っています。
最近では税理士や弁護士、建築士など、異分野のプロフェッショナルと連携する機会が増えましたし、税理士が代表を務める一般社団法人に、理事として参画するなど貴重な機会もいただきました。「ライター」という仕事の価値をあらためて気づかせてもらったと同時に、5年前の選択は間違っていなかったと感じています。


将来の夢につい教えてください

私が伝える情報によって一般の人とプロ(発信者)の間にある見えない壁を取り去ることができれば素晴らしいことです。これからもライターの立場でユニークな価値を出していければと考えています。
さらに遠い将来のことは、そこまで考えているわけではありません。ただ、これまでも流れに身を任せてきたので、今後もどこか知らない場所へと流されていくのでしょうね。
それでも、人生の様々な場面で、自分の気持ちに沿って選択することだけは、大事にし続けたいと思っています。


文章を書いてみたい人へのアドバイスをお願いします

自分のイメージしていることを文章にする練習は絶対必要だと思うんです。ブログでも何でも、まずは下手でも書いてみることをおすすめします。慣れてきたら次は、テーマと誰に向けて書くかを決めて書く。誰か一人をイメージすると、書くネタも出てくる。そして、どうしたらその人に響くかを考えながら書くことで、なんとなく掴めてくるのではないでしょうか。
それから、環境もすごく大事だと思っています。たとえば、書きやすい筆記用具、パソコン、デスク等を揃えてみると、楽しいですよね。 書くことを楽しみにする。“好きこそものの上手なれ”で、そこからスキルもついてくると思います。


最後に同窓生へのメッセージをお願いします

八幡高校に入学したとき、自分が上京するとは夢にも思いませんでした。大卒後、さまざまな事情で東京国税局に就職しましたが、本当は地元に残りたかったこともあり、上京後も福岡とは何らかの形でつながりたいと思っていました。
今回、偶然に関東にも八高の繋がりがあると知り、この取材をきっかけに、誠鏡会、そして福岡と繋がりが持てそうだと期待しています。どうぞよろしくお願いします。


貴重なお話を本当にありがとうございました。



【編集後記】

  • 「この人」執筆者である田中も、文中の「上阪徹ブックライター塾」出身。通った時期は違いますが、同塾のSNSで偶然同窓生であることを知り、今回の登場となりました。
  • 今年度の関東総会に参加された52期の方とも今回の取材を通じ、繫がることに。
  • ライター5年目にしてすでに数冊の著書を持つ小林さん。現在発売中の書籍は以下の通り。


 

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