住んでいるからこそ知っている・・・関東各地のおすすめスポットを紹介するこのコーナーですが、コロナ禍により広報委員の取材を控えています。
そこで、今回は撮影及び文章を在住の同窓生にお願いすることにしました。ご紹介するのは吉祥寺。コロナ禍だからこそ応援したい、頑張って欲しい気持ちを込めて、高12期の荻原玲子さんが娘さんと協力して撮影・取材をしてくださいました。

【案内人】高12期 荻原玲子さん

坂道のあるまちに住みたいと、国分寺崖線の上に建つマンションに20年。その調布市から 道一つ隔てた三鷹市に引っ越したのが6年前。
三鷹には娘一家が20年近く住んでいる。孫たちと過ごす時間は発見もあり、興奮する。それにもまして三鷹には自然と調和した生活がある。農協が住民の生活を支えているのもいい。畑や果樹園もあり、三鷹特産のキウイワインもある。通りには農産物の直販コーナーもあり新鮮な野菜が身近にある。我が家の近くには栗林があり、いま栗の花が満開、強い匂いに酔いそうだ。そのように四季の変化にも敏感に過ごせるのもいい。
おしゃれな吉祥寺や仙川も近くにあって楽しいけれど、まさに地に足がついた三鷹の暮らしには心落ち着かせる味がある。

おすすめ:その1
井の頭池周辺は公園のごく一部「井の頭恩賜公園」

通称井の頭公園は、東京都武蔵野市と三鷹市にまたがる都立公園。2017年に100周年を迎えている。井の頭池を囲む池畔の桜は100年の時を経てますますその妖艶さを加え、春のお花見シーズンはとりわけ賑わう。しかし今年はコロナ感染症対策で公園は閉鎖され、満開の桜の下のお花見はかなわなかった。
4月25日に3回目の緊急事態宣言が発令され、5月11日まではとマスク着用、手指の消毒、不要不急の外出自粛と頑張ったけれど、感染者は増え続けて、5月末まで解除なしになった。自由に往来できる日を楽しみに井の頭公園の魅力を紹介したい。
井の頭池周辺は公園のごく一部。公園の端には玉川上水も流れ、鬱蒼とした雑木林のなかに各種の施設が整備されている。野球場、競技場、テニスコート8面など。
お奨めしたいのは井の頭自然文化園(コロナ禍で臨時休園・5月20日現在)。入園料は小学生以下無料、大人400円、65歳以上200円。動物園、水生物園のほか北村西望作「平和祈念像」などが陳列された彫刻館もある。
先年、象のはな子が老衰で亡くなって子供たちを悲しませた。地域の子どもたちはほとんどがはな子に会いに幾度も動物園にきているはずだ。ちょうど私たちが到津遊園地に通ったように。69歳の天寿を全うしたはな子の像は、吉祥寺駅北口のロータリーで見ることができる。


おすすめ:その2
ジャズ・ライブハウス「PIANOHALL SOMETIME」


PIANOHALL SOMETIMEは、1960年代から「吉祥寺をジャズの街に」と種々の活動をされていた先代の志を受け継いで、故野口伊織氏が1975年に開業したライブハウスだ。生のジャズピアノ演奏をおくり続けてほぼ半世紀、ジャズの街吉祥寺を牽引してきた。学生時代ミュージック・チャージとコーヒーだけで最後まで粘ってジャズを堪能したというミュージシャンもいるという。
昨年新型コロナウイルス到来で、クラスターがおきたライブハウスがまず矢面に。ライブハウスはこの1年間、国や自治体の厳しい規制に翻弄された。3回目の緊急事態宣言が出たこの春には、飲食店はすべてアルコール禁止に。ライブハウスでは音楽を楽しむとともに飲食も楽しむ。それが「演奏は出来ない」「飲食できない」。四面楚歌の中で PIANOHALL SOMETIMEはランチ提供に全力を尽くすことに。
応援のつもりでランチを食べてきた。美味しくて、安くて、野菜たっぷりの肉料理。注文は1ドル紙幣(コピー)の裏にメモ。なんだか楽しい。使い込まれたテーブルや椅子、アンティークな家具にも心やすまる。コロナ禍で規制が強く、吉祥寺のライブハウスも閉鎖に追い込まれた店もあるようだ。この苦境を乗り切るために PIANOHALL SOMETIMEでは、クラウドファンディングにも取り組んでいるという。


おすすめ:その3
大人も子供も魅了する「三鷹の森ジブリ美術館(三鷹市立アニメーション美術館)」


三鷹の森ジブリ美術館はスタジオジブリ作品の監督として知られるアニメーターの宮崎駿氏が館主を務めるアニメーション美術館だ。井の頭公園の一角にあるツタのからまる洋館で、館内に入る前からアニメの世界に紛れ込んだ気持ちになる。こぢんまりとした美術館ではあるが、短編アニメーション作品を上映するミニシアター、回転のぞき絵(ゾーロトープ)や映写装置などが展示されている。アニメーションの仕組みを楽しく知ることのできる「動きはじめの部屋」、アニメーション制作者の部屋を再現した「映画の生まれる場所」、実際に中に入ったりよじ登ったりできる『となりのトトロ』のネコバス、今にも動き出しそうな『天空の城ラピュタ』の巨大なロボット兵が立つ屋上庭園など、アニメの世界を見て感じて楽しんで学ぶことのできるコーナーが凝縮している。
宮崎アニメに魅了され、フランスからやってきた青年をわが家でお世話したことがある。20年ほど前のことで「となりのトトロ」「紅の豚」などパリの映画館で見てどうしても日本のアニメを学びたいと。彼はスタジオジブリの扉をたたいたものの受け入れられず帰国。
子供の心も引き付けるジブリ美術館は、地域の子どもたちに開かれていて、私の孫が保育園時代ジブリ美術館に遠足した折描いたネコバスの絵。4歳の子が自分でもびっくりした、うまくかけたと驚いていた。出会った人にそのようなエネルギーをもたらす魔法のような場所がジブリ美術館だ。
今年5月の美術館のテーマは「手描き、ひらめき、おもいつき」展だった。コロナによる緊急事態で美術館は閉館中、一度も公開されることなく企画展は終わる。準備し、館内の展示に心を砕き、来館に期待した当事者の無念を思うと言葉もない。


おすすめ:その4
狭い路地に肩を寄せ合う「ハモニカ横丁」


吉祥寺駅北口を出てすぐにあるハモニカ横丁は、昔ながらの昭和の面影を色濃く残した庶民の集う路地。小さな店が100店余り。ルーツは第二次世界大戦後、1940年代後半に駅前に立ち並んだ闇市で、当時吉祥寺在住だった文芸評論家・亀井勝一郎さんが、狭い路地に肩を寄せ合うように並ぶその姿を、ハーモニカのようだね、といったのがハモニカ横丁の始まりと言われている。
亀井さんといえば、わたしが小出版社で働いていた頃、巻頭言を依頼にご自宅に伺ったことを思い出す。そのころ吉祥寺には金子光晴も住んでいて、原稿依頼の折に晩年の詩人と懇談した嬉しい思い出もある。吉祥寺はそのように文化人も多く住むまちでもあった。写真は緊急事態下の横丁。シャッターが下りて普段の賑わいはない。




【編集後記】

高12期 荻原さんのお住まいは三鷹市。吉祥寺に近いと思っていたので「吉祥寺の取材をお願いします」と原稿依頼をした。とっても素敵な文章が届き、改めて地図を見て三鷹市がとても広いことに気が付いた。少し距離があるにも関わらず、こころよく取材を引き受けていただきありがとうございました。(広報:山本)

 ご紹介したスポット一覧

1井の頭恩賜公園 武蔵野市御殿山1-18―31
  https://www.kensetsu.metro.tokyo.lg.jp/jimusho/seibuk/inokashira/index.html

2ジャズ・ライブハウス「PIANOHALL SOMETIME」 武蔵野市吉祥寺本町1-11-31 B1F
TEL:0422-21-6336
営業時間:12:00~23:00
ライブ時間:昼の部 14:00~/15:30~ 夜の部 19:00~/21:00~
  https://www.sometime.co.jp/sometime/index.html

3三鷹の森ジブリ美術館 三鷹市下連雀1-1-83
TEL:0570-055777
開館時間:10:00~17:30 日時指定予約制
  https://www.ghibli-museum.jp/

4ハモニカ横丁 武蔵野市吉祥寺本町1-1-1ハモニカ横丁内
  http://hamoyoko.jp/hamonika_kichijoji/







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