文=山本寿美子(高26期) イラスト=つかる(高36期)

先日、実家に帰った時に「頂き物の煮魚真空パックがあるので食べよう」という。一口食べて、母は変な顔をしている。食べ慣れない味だったらしい。「きっと東北の味付けだと思うよ」と言って袋を見たら大当たり!宮城県のものだった。しかも流行りの燻製。

北九州より関東に住んでいる年月の方が長い。味覚が徐々に変化しているが、どうしても譲れないのが「魚」のような気がする。
話によると九州人はコリコリとした食感のお刺身が好きらしい。そして、関東は寝かせて熟成された刺身の文化だそうだ。
アジの漁獲量のトップは長崎、2位が島根、3位が宮崎と続く。荒生田市場では重ねたトロ箱が並び、新鮮な魚を売っていた。

12歳までの味覚が一生を左右すると言われている。自然界のいろんな味を経験することで「見る」「聞く」「嗅ぐ」「触る」「味わう」という五感が開花し、脳に刺激を与えるのだそうだ。ストレスには、おふくろの味や田舎の味を口にするのが良いという。そんなことを考えていたらコリコリとした刺身に九州の甘めの醤油をつけて食べたくなった。

関東誠鏡会 事務局長 山本寿美子(高26期)