住んでいるから知っている、ホントにいい場所、いいお店。
今回は、高23期のご夫妻・松本剛さんと律子さんに「門前仲町」をご案内いただきました。富岡八幡、永代寺、深川不動の門前町です。海に浮島や小島が点在していた江戸時代に、寺院の建立により整備されて、江戸庶民が移住し、文化が花開いた庶民的で義理と人情が似合う街です。

【案内人】高23期 松本剛さんと律子さん

結婚して最初に住んだ門前仲町に、居続けること35年。住み始めた当時に比べると運河の護岸や公園等が整備され、おしゃれな店、人気のレストランもたくさん増えましたが、そうした中でも江戸深川の風情を色濃く残すこの街がとても気に入っています。
若い時分には敷居が高く感じられた地元の小料理屋などに、還暦を過ぎたころからは夫婦でたまに顔を出す楽しみも持てるようになり、遅蒔きながら「馴染んできたなぁ」と思うことも。今回の取材をきっかけに、この街をゆっくりと見直すことができてよかったと思います。おかげで、改めて門前仲町<愛>がふつふつとわいてきました。

おすすめ・その1

江戸三大祭りの「富岡八幡宮」

一度は見たい江戸三大祭の富岡八幡宮のお祭り。今年は3年に1度の本祭りです。担ぎ手だけで3万人、観客を含めると30万人以上で賑わう「深川八幡祭り」。今年参加する神輿は55基で「わっしょい」の掛け声が町中に響き渡ります。永代通りは人で埋まり、消防団による滝のような放水で神輿に水が浴びせられ、見物客ももちろん水浸し。松本さんに写真ありませんか?と尋ねると毎回見られるので、特に写真を撮っていないとのこと。なんとも羨ましい話です。
また、ここは江戸勧進相撲発祥の地として有名で、歴代横綱の名が刻まれた横綱力士碑には今年6月に横綱となった「稀勢の里」の名前も彫られています。

平成3年に富岡八幡宮では、日本一の黄金神輿「本社一の宮神輿」(屋根は純金で高価なダイヤやルビーが埋め込まれている)が奉納されました。現在はガラス越しでしか見ることが出来ません。そのポスターを書いたのが今回案内して頂いたイラストレーターの松本剛さんです。この年は、街全体にこのポスターが貼られていたというのを聞いて、自分の事のように誇らしい気持ちになりました。

おすすめ・その2

美味しさにご飯がすすむ 京つけもの処「近為」

土日は開店と同時にお客さんで埋まるので、早めのランチがお薦めです。店内に入ると、お茶とお漬物が出されます。松本さんに「食べ終わるとまた違う種類のお漬物が出てきますよ」と教えてもらい、美味しいお漬物をつまみながらゆっくりと待ちます。頼んだ「京あわせ」は、鮭とサワラの粕漬け、ちりめんジャコ、甘味、お味噌汁、ご飯というシンプルな定食です。そして、お代わりの違う種類のお漬物が入った角鉢が運ばれて来ました。珍しいタケノコのお漬物に、ついご飯が進みます。また、焼き魚の粕漬けは思わず皮まで食べてしまうほど美味しいものでした。今度は別メニューの「京のぶぶつけ」や「豚肉や若鳥の粕漬け定食」を食べに来たいと思いました。

おすすめ・その3

さわれる近さの若冲展「祇矢羅李二十代三十代」

松本さんがこのギャラリーの案内を見た時、「なぜ、こんな場所に?本物?」という疑問がわいたそうです。近年注目されている「伊藤若冲」ですが、東京都美術館での行列は記憶に新しいですね。中に入ると、ワンルームマンションくらいの広さに掛け軸と屏風が並んでいます。ガラス越しではないので、絹本(絹地)に書かれている「若冲」の緻密な筆使いを間近に見ることが出来ます。深川にある有名なてんぷら「みかわ是山居」店主の所蔵品です。見学は無料ですが、開館日が限られているので日程を必ずチェックしてください。館長によると現在は9月末まで開催日を決めています。年内は開催する予定ですとのことでした。

おすすめ・その4

水辺を楽しむ「大横川」と「古石場川親水公園」

松本さん一番のお気に入りの場所は、この大横川の桜並木。桜の季節には和船に乗って、川から眺める桜がお薦めだそうです。「古石場川親水公園の水路は海水で、潮の満ち引きで水量が変わるんですよ」と聞いて、よく見るとフナムシが居ます。周りは整備され、牡丹やバラ、紫陽花など季節の花が楽しめます。この日は、炎天下の取材だったのですが、水辺に居るだけで涼しい気持ちになりました。ジャブジャブ池では、その名の通り水遊びをする子供たちの歓声が聞こえてきます。また、古石場川親水公園の小津橋は小津安二郎監督の「小津家」があった名残です。

おすすめ・その5

現存する日本最古の鉄船「明治丸」

東京海洋大学の中にある明治丸(重要文化財)は、140年前にイギリスで作られた日本最古の鉄船です。明治丸記念館も併設されていて、船内の見学もできます。日本中の灯台を回って点検したり修理したりするための船で、出来た当時はとても速い船でした。明治8年に小笠原諸島の領有問題が起こった時、この船が英国軍艦より早く到着したことで小笠原諸島は日本の領土となりました。その功績は非常に大きく、広大な排他的経済水域を確保することが出来ました。また、大正12年の関東大震災や昭和20年の東京大空襲でも多くの避難者を収容し、災害救援にも活躍したそうです。木の甲板や手すりが歴史を感じさせます。

おすすめ・その6

濾過と無濾過のワインがある「深川ワイナリー東京」

2016年に開業した都市型ワイナリー(ワイン醸造所)です。ワイン作りに必要な温度管理のため、表のシャッターは常に締め切り。車の脇から入って裏口へ行き、呼び鈴を押して中に入りましょう。工場の醸造所を眺めながら試飲ができ、申し込めば工場内の見学もできます。ワインではあまり見かけない「濾過」と「無濾過」の二種類があり、いろんな種類をゆっくり試飲して買い求めるのがお薦め。お昼は試飲のみですが、夕方からは椅子とテーブルが並べられちょっとしたオードブルと共に美味しいワインが楽しめます。

おすすめ・その7

門前仲町のお土産は?

松本さんがちょっとしたお土産に使うのは「みなとや」のお煎餅です。美味しいのはもちろんですが、どのお煎餅にも「門前仲町」文字が印刷されていてお土産に最適です。「近為」のお漬物はタケノコやカボチャなどの他ではあまり見かけないものがお薦め。
また、小津安二郎記念館に売っている絵葉書やクリアファイルはここでしか買えないので興味がある方へのお土産にいかが?深川ワイナリー東京の紙箱入りのワインは限定もの。絵柄がおしゃれでこれもいいですね。


【編集後記】

この日は30度を超える炎天下での取材でした。松本さんが準備された凍ったタオルが大活躍。お世話になりました。都内で3件目に出来た都市型ワイナリーに行ったとき「都内は他にどこがありますか?」と尋ねたら「清澄白河」と「練馬」で、他2件もこの取材で行ったことがある場所でした。さすが「住めば都」情報が早い!


回ったスポットの住所や営業時間やURL

1富岡八幡宮
〒135-0047 江東区富岡1-20-3 TEL:03-3642-1315 FAX:03-3642-5580
http://www.tomiokahachimangu.or.jp/

2京つけもの処「近為」
〒135-0047 江東区富岡1-14-38(深川不動尊参道) TEL:03-3641-4561 FAX:03-3641-2740
営業時間:11:00~17:30
休業日:不定休
http://www.kintame.co.jp/

3「祇矢羅李二十代三十代」
〒135-0046 江東区牡丹1-6-6 TEL:03-3643-8383
開館時間:12:00頃~18:00頃
開館日:「みかわ是山居」のホームページにて確認ください。
https://mikawa-zezankyo.jimdo.com/

4大横川の桜並木
http://www.mon-naka.com/sakura/

5古石場川親水公園
お問い合わせ:土木部 施設保全課 水辺と緑の事務所
〒135-0052 江東区潮見1-2-1 TEL:03-5683-5581 FAX:03-5683-5585
http://www.city.koto.lg.jp/470705/machizukuri/kasenkoen/shinsuikoen/17623.html

6明治丸
〒135-0044 江東区越中島2-1-6 TEL:03-5809-8058
開館日:火曜日、木曜日、第1・第3土曜日
開館時間:4月から9月 10:00~16:00、10月から3月 10:00~15:00
https://www.kaiyodai.ac.jp/overview/facilities/meijimaru.html

7深川ワイナリー東京
〒103-0045 江東区古石場1-4-10 高畠ビル1F TEL:03-5809-8058
営業時間:月~火 10:00~18:00、水~日・祝日:10:00~22:00(L.O 21:30)※17時からバータイム)
醸造所のご見学・試飲のご予約:土・日・祝 13:00~、15:00~
http://www.fukagawine.tokyo/

8みなとや
〒135-0048 江東区門前仲町2-4-9 TEL:0120-80-3708
営業時間:10:00~19:30
定休日:年中無休
http://www.minatoya.biz/fs/minatoya/c/minatoya

9古石場文化センター(小津監督コーナーあり)
〒135-0045 江東区古石場2-13-2 TEL:03-5620-0244
開館時間:9:00~21:00
休館日:第1・3月曜日(祝日の場合は開館)/年末年始
https://www.kcf.or.jp/furuishiba/






この記事へのご意見・ご感想、また「私が住んでいる街のお薦めスポットも紹介したい!」などの情報をお待ちしています。
こちらよりお寄せください。