現在、京成電鉄谷津駅より海側には、「谷津干潟」と「谷津バラ園」、そして閑静な住宅街が広がっています。ここには、かつて谷津遊園という 1925年開園の遊園地があり、大観覧車、海水浴場、バラ園、野球場がありました。この野球場はベーブルース、ルー・ゲーリックなどアメリカの招待選手と全日本チームが試合をした場所で読売巨人軍発祥の地です。しかし、京成電鉄の事情により 1982 年末に閉園が決まり、谷津バラ園のみが残りました。また、1945年くらいから埋め立てが進み、住宅地や産業エリアが広がった京葉臨海地域ですが、「谷津干潟」だけが埋め立てから免れて今日に至っています。埋め立てにより出来た広大な土地に、ZOZOタウン、幕張メッセ、国内最大級のイオン、ららぽーと、イケア、コストコなど大型店が多いのもこの地域の特徴です。

【案内人】高26期 桝本康夫さん

習志野市に住んで40年近くになります。転職した父は母と隣の船橋市で社宅住まいをしていましたが、この地域で永住を決め、終の棲家を習志野市に得たのがきっかけです。谷津干潟は散歩コースで渡り鳥の群れや沼に生息するカニなどの生き物に癒されています。今回の取材で、谷津バラ園入口横の「読売巨人軍発祥の地」の記念碑をゆっくりと読みました。

おすすめ:その1
ラムサール条約の登録湿地「谷津干潟」

習志野市にはラムサール条約の登録湿地「谷津干潟」があります。東京湾の最奥部に残された長方形(400m×1100m)の湿地です。ゴミ捨て場同然だった悪臭を放つ湿地は、埋め立てる以外ないと思われていたのですが、埋め立ての新聞記事(1974年)を見て、幼い頃遊んだ湿地が消えていくと、一人の青年が立ち上がりました。ゴミを拾い、看板を立て、廃材でベンチを作り、不法占拠と言われながら、孤軍奮闘して5年、仲間と共に5年、そして、ラムサール条約に登録されたのが1993年です。なんと20年もの間、国(大蔵省の土地)、千葉県、習志野市とのぶつかり合いがありましたが、希望を捨てず貴重な自然を残したいと活動したのです。今では、自然生態観察公園として遊歩道や観察デッキなどが整備されています。ゴカイ、カニ、ハゼ、貝類に加え、それを餌とするたくさんの野鳥が生息しています。春になるとシベリアからオーストラリアへ向かう渡り鳥が羽を休めています。写真の羽を広げた鳥は、濡れた羽を乾かしているのだそうです。都会に残された貴重な自然です。隣の船橋市に住んでいるけど訪れたことがないという同期の望月俊子さん(高26期)も参加して散策をしました。


おすすめ:その2
市民の憩いの場「谷津バラ園」


谷津バラ園は、1957年(昭和32年)京成電鉄の谷津遊園バラ園として設立され、1988年(昭和 63年)から習志野市の経営となりました。散策するのにちょうど良い広さで噴水を中心に800種類、7500株のバラが植えられています。見頃は5月中から6月初め、秋は10月半ばです。取材日のバラは満開、バラの香りに包まれて優雅な気分に浸りました。鉢バラの販売やバラのジャムやようかんなどお土産も豊富に揃っています。バラのアイスクリームは美味しいと評判です。


おすすめ:その3
定食を食べるならここ!お食事処「轍」


数あるメニューの中から選んだのは、お店いち押し!の「勝浦の初かつお刺身定食」です。谷津商店街にあるこのお店は、揚げ物も刺身も美味しい定食屋として人気です。習志野トラックセンター内の人気食堂「池田屋」が、センター閉鎖により閉店し、土佐料理の職人だった店主が「轍(わだち)」として装い新たに開いたお店です。旨くて安くてボリュームがあるというのも頷けます。取材日は「谷津バラ園」が見頃を迎え、お客さんが多く、11時半には店内は満席。定食に添えられた「味付けのり」と「のりたま」のふりかけで大盛りのご飯も完食してしまいました。


おすすめ:その4
谷津のお土産はここ!「ル・パティシエ・ヨコヤマ」と焼肉弁当「まるはん」


千葉県ケーキ屋ランキング1位で紹介されている「ル・パティシエ・ヨコヤマ」ですが、取材日は残念ながら定休日で購入できませんでしたが、「岩シュー」が美味しいと近隣に住む二人が太鼓判!ごつごつとした見かけにとろりとしたクリームがたっぷり入ったシュークリームは絶品とのこと。「谷津干潟のたまご」は地元契約養鶏園から届けられる新鮮卵に発酵バターを使った小さめのマドレーヌです。しっとりとした口当たりで、ケーキを食べてみたいと思わせる味でした。
そして、谷津干潟で遊んだ帰りにおすすめしたいのが、ケーキ屋と同じ並びにある焼肉弁当 「まるはん」。国産牛肉と国産野菜がたっぷり入っているお弁当です。値段もお手頃で、選ぶのに迷うくらい種類も豊富です。夕方、買いに来ていたのは宅急便の制服を着たお兄さん、地域に詳しい方が来るお店は間違いないですね。主婦二人は夕飯用に買い求めました。とても満足なお弁当でした。



【編集後記】

初めて「谷津干潟」に行きました。住宅地に囲まれ、高速道路が横切る長方形の干潟、海はみえないのに潮の香りがする不思議な情景が広がっています。なぜ、こんなに成型された形で残ったのだろう?桝本さんが持っていた本を借りて読むと、この土地は「大蔵省水面」と呼ばれた大蔵省管轄の湿地帯だったのです。一人の青年の湿地帯を守る活動が「谷津干潟」を残したと書いてあります。まるで現代版“青の洞門”という例えをしています。興味がある方はぜひ読んでほしいと思います。
「わが青春の谷津干潟 ラムサールへの道」本田カヨ子著




 ご紹介したスポット一覧

1谷津干潟自然観察センター 習志野市秋津 5-1-1
TEL:047-454-8416
開館時間 9:00~17:00(休館日 月曜日・年末年始)
https://www.seibu-la.co.jp/yatsuhigata/

2谷津バラ園 習志野市谷津 3-1-14
TEL:047-453-3772
5~6月/8:00~18:00 季節により時間が異なります(定休日:月曜日)
http://www.yatsu-rosegarden.jp/

3お食事処「轍(わだち)」 習志野市谷津 4-5-19
TEL:047-407-0355
営業時間:11:00~14:00 17:00~21:00(定休日:水曜日)
https://narashino-trackstation-ikedaya.com/

4ル・パティシエ・ヨコヤマ 谷津店 習志野市谷津 4-8-45
TEL:047-453-3888
営業時間:10:00~18:00(定休日:火・水曜日)
http://www.p-yokoyama.jp/

5焼肉弁当「まるはん」 習志野市谷津 4-8-5
TEL:047-452-0362
営業時間:10:00~20:00(定休日:月曜日)
http://maruhan.org/







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