新型コロナウイルスの影響により思う様に外出ができない状況が続いていましたが、3月のまん延防止等重点措置解除をうけて「住めば都」の対面取材を行ないました。解除後とはいえ、まだまだ気を緩めることはできないのでいろいろな制限のもとで取材しています。写真撮影のとき以外のマスク着用はもちろん、お店も感染症対策がちゃんとなされているお店に限定し、食事の際も十分注意を払って取材いたしました。
さて今回は、サブカルチャーの聖地「下北沢(通称:シモキタ)」、なぜそんな呼ばれ方をしているのか、街を歩けばきっとすぐに納得できるはず。ライブハウス、小劇場、古着屋、雑貨店にエンタメカフェ・・・街のいたるところに個性溢れまくりです。

【案内人】高30期 井上うたえさん

下北沢は縁あって20代前半から住んでいました。一時期離れましたが32歳の時に仕事と子育てを両立するにはと世田谷区を選び、下北沢から3つめの経堂に住んで30年になります。連れ合いは下北沢を拠点に芝居をして35年、子どもたちと古着屋で買い物をしたり、最近ではテレワークの運動不足解消に下北線路街まで散策するなど、この40年の下北沢の変化を見てきました。昔ながらのシモキタが消えていくことに寂しさを感じたこともありましたが、時代の変化を感じさせてくれる刺激的な街をこれからもずっと見ていきたいです。


おすすめ:その1
「演劇の街・下北沢」でサブカルチャーを楽しもう

「サブカルの街」という呼称を持つ下北沢。ここは今も昔も、夢を持ち上京してきた若者たちが集まる活気あふれる街です。北九州出身のリリー・フランキーさんも下北沢で下積み時代を過ごしたそうです。
駅から徒歩圏10分以内に、人気の「本多劇場」を筆頭として、古き良き”シモキタ”を守り続ける小劇場「ザ・スズナリ」など、メジャーどころの劇場からちょっとした穴場の劇場やお笑いライブが頻繁に行われているスポットまで、色んなタイプの劇場を見つけることができます。そんな数ある劇場の中で井上さんのお勧めは「駅前劇場」。ラインナップは主に、若手劇団による演劇や、幅広いジャンルのお芝居、そしてお笑いライブなども行われています。実は井上さんのご主人は「劇団Turbo」を主催し、自ら数多くの脚本を手掛け、今はここ「駅前劇場」を主な活動拠点にしているそうです。下北沢演劇の中枢を担い古くから多くのファンに愛されている小劇場で、お好みの演劇を間近で観てみてくださいね♪


そしてもうひとつの代表的カルチャーが、「古着の街・下北沢」。もともと戦後の闇市でボロ着を販売していたことが始まりだそうで、今では駅からすぐのエリアに優に100を超える古着屋さんが密集しています。ヴィンテージから流行りのものまで、個性豊かなさまざまな古着屋さんが軒を連ねている通りを、ブラリと見て歩くだけでも楽しいですよ。思いがけず、お気に入りの一着に出会えるかもしれませんね。


おすすめ:その2
和の旨味を活かしたスパイスマニアのカレー屋さん「胡粋」


知る人ぞ知るカレー激戦区、下北沢。毎年10月には「下北沢カレーフェスティバル」も開催されており、カレー好きなら毎日通っても飽きることがない「カレーの街」です。そんな多くのカレー店がひしめく中から、今回は「スパイスカレー胡粋」をチョイス。木曜~日曜のランチタイムのみの間借りカレー屋さん、メニューは毎日変わります。この日のメニューは「ほうれん草塩麹チキンカレー」、「豚角煮スパイスカレー」、「サバとあさり、ホタテのココナッツキーマカレー」。折角なので全てのカレーが楽しめる3種カレー1300円(税込)をオーダー。ほうれん草、豚角煮、鯖がスパイスを介して見事に融合。一口食べると、どことなく和の旨味が感じられココナッツのまろやかさと合わさって、これまでに感じたことのない美味しさです。そして本日のトッピングは、梅干しのすっぱさをスパイスと昆布出汁で仕上げた「筍とひよこ豆の梅しそキーマ」。ひよこ豆の食感が楽しい一品でした。カレー好きの方もそうでない方も、和風テイストのスパイスカレーを是非ご賞味あれ。


おすすめ:その3
新たなサブカルの街が誕生「下北線路街」


小田急線の東北沢-下北沢-世田谷代田の3つの駅をつなぐ区間は、かつて1時間のうち40分以上遮断機が下りる「開かずの踏切」として住民を悩ませていました。それが近隣住民の要望により2013年に地下化され、9つの「開かずの踏切」は全て解消されました。
さて、地下化により新たに現れた1.7Kmに渡る線路跡敷地に何を作るか?2019年から始まった線路跡地の再開発は、マンションなどの収益型の大型不動産開発ではなく、「街を変えず」にすでにある街の発展につながる開発を行ってきたのです。再開発地域には、ファッションや音楽などを軸にした複合施設「BONUS TRACK(ボーナストラック)」や飲食店やシェアオフィスが並ぶ「ミカン下北」が出現しました。そこには、ユニークなレコード店やイベントを毎日開催し文化発信する書店「本屋B&B」など個性豊かな店舗が出店しているだけでなく、地域とつながる保育園や学生寮、ラウンジやギャラリーなど、新たなサブカルの街「下北線路街」が誕生しました。
いまシモキタが大きく変わりつつあります、古き良きシモキタと新しく生まれ変わったシモキタを堪能してみてください。


おすすめ:その4
注目の発酵スポット「発酵デパートメント」で見つけたおすすめ食品


シモキタのお勧めのお土産は、「発酵デパートメント」。下北沢駅の再開発に伴い誕生したBONUS TRACK(ボーナストラック)の一角にある「発酵デパートメント」は、日本各地の醤油や味噌など調味料から、その土地に根付くユニークな漬物、お酒まで、発酵にまつわる商品を幅広く展開している発酵食品を扱う専門店です。中でもいち推しは、発酵に約4か月、熟成に8か月かけて作られた山梨県都留市の戸塚醸造店「にごり酢」です。富士山の伏流水を使い、丁寧に発酵させて熟成させたお酢を濾過せず上澄みだけを取って作られた「にごり酢」は、マリネなどの素材の美味さを引き出すのに最適なお酢です。是非一度お試しください。きっと今までにない新感覚を味わうことができるはずです。他にも自然米糀由来の仁井田本家の「こうじチョコ」や日本古来の魚醤「しょっつる」など、新たな発見があること請け合いです。



【編集後記】

東北沢~世田谷代田の地下トンネルが貫通した段階で、小田急さんが地下工事現場を歩くという見学ツアーに、沿線在住の小学生を招待したそうです。井上さんのお子さんお二人も抽選に当選し、親子で下北沢から世田谷代田の地下を歩いた時の写真がこちら。今から12年前のことです。工事の着工が2004年。計画段階からすると20年もの歳月をかけてひとつの街が生まれ変わっていくんですね。





 ご紹介したスポット一覧

1本多劇場 〒155-0031 東京都世田谷区北沢2-10-15
TEL:03-3468-0030
客席数:386席
https://www.honda-theater.com/
https://www.honda-geki.com/

2駅前劇場 〒155-0031 東京都世田谷区北沢2-11-8 TAROビル
TEL:03-3414-0019
客席数:180席
https://www.honda-geki.com/ekimae/

3スパイスカレー「胡粋」 〒155-0031 東京都世田谷区北沢2-14-7 セントラルビル 2F
営業日:木~日
営業時間:11:30~15:45
TEL:090-9370-9707
https://twitter.com/ko_sui_spice

4発酵デパートメント 〒155-0033 東京都世田谷区代田2-36-15
営業時間:平日:11:00~18:00、土日祝:11:00~19:00
定休日:不規則なので来店前に情報確認してください https://hakko-department.com/

5下北線路街 https://senrogai.com/

  「ボーナストラック」
   〒155-0033 東京都世田谷区代田2-36-12
   https://bonus-track.net/
  「ミカン」
   〒155-0031東京都世田谷区北沢2-11-15
   https://mikanshimokita.jp/
  レンタルスペース「空き地」
   〒155-0031 東京都世田谷区北沢2-33-12
   https://www.uds-net.co.jp/work/shimokitasenrogai-akichi







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