間宮智子さん(高36期)


Profile間宮智子さん

1984年 八幡高校卒業(高36期)
1986年 平岡栄養専門学校卒業後、済生会八幡総合病院に栄養士として就職
1990年 青年海外協力隊に参加しネパールへ赴任
1992年 帰国し、済生会八幡総合病院に復職
1993年 結婚を機に関東へ。しばらく家庭中心の生活になる
2000年 日本女子大家政学部食物学科通信課程修了。管理栄養士として仕事復帰。大学・専門学校の講師など務め、現代食生活研究所設立。現在にいたる。

〈略歴〉
栄養士専門学校卒業後、済生会八幡総合病院に栄養士として就職。24歳の時、青年海外協力隊に参加ネパールで2年間活動。帰国後は済生会八幡総合病院に復職するも、翌年結婚を機に退職し上京。一旦は職を離れるが、2000年頃からフリーでクリニック、保育園の管理栄養士、大学・専門学校の講師として活動中。分子整合医学美容食育協会国分寺中央支部長/日本抗加齢医学会会員/日本栄養士会会員
〈取得資格〉
管理栄養士/在宅訪問管理栄養士/西東京糖尿病療養指導士/健康運動指導士/保育士/調理師/加工食品診断士/ビジネスサプリメントアドバイザー/プロフェショナル ファスティングマイスター1級



2020年3月某日、現代食生活研究所代表で食のプロとして活躍する間宮智子さん(36期)に、健康と栄養に対する想いや最近の健康食のトレンド、おすすめの食生活などを伺いました。


食のプロになったきっかけについて教えてください

もともと栄養士志望だったのですか?

実は高校卒業までは栄養士になるなんて全く考えていませんでした。小さい時から書道を始めて、高校も書道部でかなり本気でやっていましたから、大学は書道科に進学し書道の先生を夢見ていました。が、受験は撃沈。家庭環境から浪人は難しく、母から「食の道へ進め」と言われたことで、久留米の平岡栄養士専門学校に進学しました。卒業後は済生会八幡総合病院に就職し管理栄養士※の資格を取得しました。

※管理栄養士と栄養士の違い
管理栄養士・栄養士ともに、栄養指導・献立作成・発注・調理など病院や学校の給食に関わるすべての業務に携わります。二つの職種の違いは、管理栄養士は国家試験合格が必須であり(栄養士は栄養士養成施設で学び卒業後、都道府県知事の免許を受けて取得)、栄養指導の対象者が異なる点。栄養士は主に健康な人が対象ですが、管理栄養士は、傷病者や高齢者などにも栄養指導ができます。一定以上の規模の大きな給食施設では必ず管理栄養士の設置が義務づけられており、給食施設の運営や労務についての管理、医師や看護師と医療チームを組んで栄養管理が行えるのも管理栄養士のみです。


そのまま、食のプロ一直線ですか?

いえいえ。そんなにスムーズなわけではありません。働いて4年くらい経ったところで、辞めたくて辞めたくて辞める理由を一生懸命探していました。丁度その時電車で「青年海外協力隊」の広告を見てその足で小倉の説明会に行き、説明会で協力隊の活動のビデオを見て「私の道はここしかない!」とすっかりその気になっていました。しかし栄養士枠は厳しく、3回目のチャレンジでようやく合格。やめるつもりで職場に辞表を出したのですが、上司のすすめで病院に籍を残した「勉強のための休職」扱いにしていただき、家族の説得もできて赴任国ネパールへと旅立つことになったのです。ところが、派遣されたところは電気もガスも水道も通ってない山奥の町の小さな病院でした。WHOなどの仕事で他の地域で栄養指導をすることもありましたが、派遣先の病院では、総合病院で養った知識は全く役に立ちませんでした。病院に仲間の野菜隊員を呼んで畑を耕したり、看護隊員にスタッフの指導をしてもらったり、建物の修復作業をやったり、栄養士以外の仕事をすることの方が多かったですね。でも、このネパールの大自然の中での生活の経験が、今の私の食への考え方・関わり方の原点になっています。そして2年間の活動を終え、帰国しました。


帰国後は、管理栄養士としてキャリアを積まれたのですか?

ところが、そうはいかなかったんです。帰国後は済生会八幡総合病院に復職したものの、豊かすぎる日本の生活と貧しいネパールの生活のギャップに「生きること、食べることってなんだろう」と考え、病院栄養士の仕事と少し距離を置きたくなりまして・・・。年度末で退職し、そのタイミングでネパールの協力隊仲間と結婚することになり、結婚を機に関東に移りました。青年海外協力隊でお世話になった女子栄養大学の先生から仕事を紹介されましたが、しばらくは家庭中心の生活をしていました。でも、その先生から「子育てや親との同居経験は栄養士としてのプラスになるから勉強は続けなさい」と言われ、病院勤務時代から在籍していた日本女子大学通信課程の勉強を再開。トータル10年かかって卒業しました。そして、子育てが落ち着いた20年ほど前から、本格的に仕事に復帰しました。現在は食生活研究所代表として、保育園やクリニックでの栄養指導のほか、大学や専門学校で講師、通信教育の仕事をさせていただいています。


栄養のプロが考える、理想の食生活とは?

間宮さんが思う理想の食生活とは?

理想の食生活ですね・・・。その人その人で違うものなので、また時代によっても違ってくるので、一言ではいえないですね。たとえその人に合う理想の食生活であっても、パーフェクトに実行することは難しいですよね。しかし、意識することは誰でもできます。「どこで、誰が、どうやって作ったか」「どんな味か」「どのくらいの量がいいのか」など、意識をするだけで自然に食べ方が変わってくると思います。無意識に食べていると「生活習慣病」になりやすくなります。日本の場合は、おいしいものがいっぱいあって、いつでもどこでも簡単に食べられる環境なので、食べることを意識しなくなってしまいます。動いた分だけ、体に必要な分だけ食べると病気にはならないんです。山奥のネパールでは、そこで作られた旬の食べ物しかありませんし、自分で調理して家族全員で食べるので、日本のような生活習慣病にはなりにくいわけです。貧しいけれど豊かな食生活だと思います。理想の食べ方は自然な食べ方です。そこにあるものを必要な分だけ作ってみんなで食べることです。普通のことですが、今の日本では意識しないと難しいですね。こうした考えになったのは、ネパールでの経験からきていると実感しています。

なるほど。とはいえなかなか日本では難しいですよね。まずは何からはじめたらいいでしょうか?

当たり前のことですが、まずは「噛む」こと。最低50回は噛むのが理想と最近ではいわれています。30回でも難しいですよね。次によい排泄物を出すこと。最近ではトイレが便利になって自分の排泄物をじっくり見る機会がなくなりましたが、できればチェックしてほしいですね。まさに「便は身体のお便り」ですね。また、糖質制限がブームになって久しいですが、ご飯を1食最低100gは食べることをおすすめします。お米には水溶性の食物繊維様物が多く、よい便を出すためには効果的な食べ物です。糖質、脂質、タンパク質と「質」がつく栄養素はその名の通り「質」を大事にしましょう。前述のご飯も雑穀や五分搗きなどの分搗米などにすればさらに栄養価は高くなります。脂質は、亜麻仁油、エゴマ油、魚油・・・バターもよいです。タンパク質はお肉も良いですが、お魚や大豆製品を積極的に取りましょう。しかし、身体によいからと言ってたくさん食べてしまってダメですよ。あくまでも適量。

身体によいものと言えば、最近のトレンドは何ですか?

ズバリ、発酵食品です。特に日本の伝統的な発酵食品「味噌」「醤油」「甘酒」など、世界に誇れる食文化ですよね。腸内細菌のバランスを整える発酵食品は、免疫力をアップさせたり、自律神経を整える効果もあって、今後ますます注目されるでしょうね。簡単に取り入れるなら、お味噌汁。塩分が気になる人は1日1杯。減塩味噌を使うより、具だくさんにして汁の量を減らすことをおすすめします。味噌に限らず、「減塩」「カロリーハーフ」「コレステロールゼロ」と書かれた調味料は、味を調えるために添加物が増えているものも少なくありませんので、買う前に食品表示のチェックを忘れずに。
トレンドではないですが、定期的にファスティング(絶食)してデトックス(解毒)し、身体をリセットすることもおすすめしています。


最後に。同窓生へメッセージをお願いします。

講演会などで必ずいうのは「食べ方は生き方」です。食を少し意識するだけで日常が変わります。

ためになるお話をありがとうございました。



【編集後記】

  • 食への思いが強い間宮さん。語り始めると止まらないマシンガントークで、笑いっぱなしの取材となりました。
  • 大学や専門学校以外でも、気軽に参加できる講演会やお料理教室なども開催されています。詳しくはHPで。
  • 現代食生活研究所では食のプロの育成も行っているそうです。今からでも間に合う?
  • 現在も書道は続けていらっしゃって、展示会などにも定期的に応募されています。写真は2019年読売書法展出品作品。実は第34回関東誠鏡会総会(36期当番期)総会誌の題字も間宮さん。さすが!

 

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