住んでいるから知っている、ホントにいい場所、いいお店。
東京都西部にある青梅市は、奥多摩の山々の入り口にあたり、江戸と甲州を結んだ青梅街道の宿場町として発展しました。また青梅市の西側に位置する奥多摩には、東京都とは思えないほど深山峡谷の豊かな自然が広がります。清らかな水が豊かに湧き、わさび栽培も盛ん。その渾々と湧き出る「岩清水」を使って作られた地酒と濃厚なお豆腐は絶品。多摩川の清流には沢蟹が遊び、さらに奥には御岳山を始めとする山々が峰を連ね、散策やハイキングに多くの人々が訪れる東京の癒しスポットとなっています。
お酒好きの方、山好きの方。青梅を一度訪ねてみませんか。

【案内人】高29期 天野雅子さん

30数年前に家探しをしていた時に、東京の下町育ちの夫が青梅の自然に魅了されてこの地に住むことになりました。当時は全く所縁のない土地で不安もありましたが、人情味のある地元の方々に大変お世話になり、3人の子供たちも元気にのびのびと育ちました。都心からは少々遠い青梅ですが、豊かな自然の中でのアクティビティや美味しいお店とともに、青梅マラソン・塩船観音つつじ祭り・青梅大祭・納涼花火大会・だるま市等々四季折々のイベントがたくさんありますので、皆さんもぜひ遊びにいらしてください。

おすすめ・その1

駅を降りたとたんにタイムスリップ!「昭和の街・青梅」

「昭和の街」をテーマに、青梅市は街づくりを進めています。駅を降りると、手描きの映画看板やレトロなつくりの建物が目に入ります。JRのホームから聞こえて来たのは、「ひみつのアッコちゃん」の発車メロディ。(青梅駅の発車メロディはこちら。https://www.youtube.com/watch?v=w_SniwlTZU8) 駅に降り立った瞬間から、昭和にタイムスリップしたような感覚に陥る青梅の街です。その一画には、昭和を代表する漫画家・赤塚不二夫の作品を展示した「青梅赤塚不二夫会館」があり、漫画の原稿や昭和30年代のマガジン・サンデーなど赤塚フアンにはとても興味深い内容です。隣接する「昭和レトロ商品博物館」には昭和のなつかしグッズがところ狭しと並んでいます。
今回は天野さんの同期の樋渡乃扶子さんにも同行していただきました。赤電話や赤い郵便ポスト、駄菓子屋をみては、おふたりで楽しそうに少女に戻ったようにはしゃいでいました。郷愁に浸りたくなった時は、街全体が昭和30年代の雰囲気に包まれた青梅へ行ってみませんか。

おすすめ・その2

築300余年の酒蔵でお酒の香りを浴びる「澤乃井(小澤酒造)」

元禄15(1702)年創業、300年の歴史を誇る「澤乃井(小澤酒造)」の酒蔵見学に参加してきました。酒蔵を訪ねたのは11月上旬、ちょうど新酒の蔵出しが始まったところです。広い敷地の白壁を抜け辿りついた酒蔵の軒下には、青々とした30kgもあろうかという大きな杉玉が吊るされていました。新酒ができたことを知らせる印です。社員の方の案内で、神棚が飾られている大きな扉を開け蔵の中に足を踏み入れると、少しひんやりとした空気を感じます。壁の厚さが30cmもある土蔵なので気温はいつも18度に保たれているそうです。薄暗い土蔵のなかを進んでいくと、お酒のいいにおいがぷ~んと香ってきて思わず喜びの声が漏れそうです。見学の最後には、できたての新酒「しぼりたて」を振る舞って頂きました。岩盤を140mも掘り抜いた洞窟から湧き出る蔵元自慢の仕込水から生まれるお酒は、すっきりとした淡麗さの中にふくらみのあるコクを秘めた、奥の深い辛口酒です。
(酒蔵見学は無料ですが、事前予約が必要です。)

おすすめ・その3

清流を眺めながらの豆腐・ゆば懐石「ままごと屋」

「ままごと屋」は小澤酒造直営のお店で、蔵元に隣接している澤乃井園内にあります。古い造りの建築で、急な階段をのぼり案内された部屋は、窓の外に渓流の見える席でした。天野さんのおすすめは豆腐・ゆば懐石。「ままごと屋」のオリジナル「豆腐酪」は、吟醸の酒粕と手作り三年味噌に豆腐を漬け込んだ珍味。「本地酒」や「元禄酒」と相性抜群です。また「豆乳おぼろ」は、シンプルですが大豆本来の風味がしっかりとして何もつけなくても美味い!
目の前を流れ多摩川の清流や少し色づいた紅葉を眺めながら頂くお料理は最高です。是非「きき酒セット」と共にどうぞ。

おすすめ・その4

下界から隔絶した天空の宿坊「御嶽山(みたけさん)」

東京の奥多摩にある、パワースポットの宝庫としても知られる御岳山(みたけさん)。山頂にある武蔵御嶽神社、清流とコケが美しいロックガーデン周遊コースなど、四季折々のお手軽な登山を楽しめます。天野さんもご家族でお正月の初日の出や紅葉の季節のハイキングを楽しんでいるそうです。ケーブルカーに乗車し標高831mの「御岳山駅」で降りると、少し開けた御岳平。ここからの眺めは素晴らしく、都心方面はもちろん東京スカイツリーを見ることもできます。天野さんのイチオシは、徒歩20分ほどの「武蔵御嶽神社」・・・ではなく、神社の門前に集まる「宿坊」。この山上の集落は、武蔵御嶽神社に関連する神職に連なる家が「御師」として参拝客を泊めていたのが始まりだそうで、今では数少ない茅葺の屋根がその歴史を物語っています。雲上の宿坊で憩いのひとときをいかがでしょうか。

おすすめ・その5

食べる前に目で味わえる梅の里の和菓子「紅梅苑」

天野さんお薦めの青梅の甘味処は、和菓子の「紅梅苑」。青梅吉野梅郷は、戦中戦後にかけて英治が住み「新・平家物語」を執筆したゆかりの地だそうです。「紅梅苑」は、故吉川英治夫人が氏の愛した紅梅にちなんで昭和58年に創業したお店です。梅にこだわり、自家梅園まで持つ同店のシンボルは、1つのヘタに2つの梅が生る紅梅、「鴛鴦(えんおう)梅」。ぜひここでしか食べられない「青梅葛切り」をどうぞ。大きな梅の甘露煮入りで梅の香りの生きた爽やかな一皿です。また「柚篭」は一口大の桃山風の生地の中に刻んだ柚子皮の甘煮がたっぷり。吉野梅郷ならではの商品です。どれも、食べる前に目で味わえる梅の里の和菓子です。

おすすめ・その6

おたのしみ、青梅おすすめのお土産は!?

1. 青梅の地酒 澤乃井からは「純米吟醸 蒼天」。55%精米の淡麗な純米吟醸酒、ふくよかな味わいが余韻となってひろがります。奥多摩の湧水でつくられた「ままごと屋のとうふ」と一緒にいただきました。しっかりとした吟醸香が、大豆の風味をそのまま生かした豆腐の本来の味を引き立ててくれます。
2.「紅梅苑」の看板商品の「紅梅饅頭」は、梅をかたどったカステラ生地のおまんじゅう。卵と蜂蜜の甘い香りがする生地と甘みを抑えたあっさりとしたこし餡が絶妙のハーモニーです。
3.「青梅せんべい」は青梅にちなんだ梅花型の、素朴でこくのある味わいの銘菓です。おせんべいが梅の形をしているだけでなくいろいろ模様や絵が描かれていて、ちょっとオシャレです。「昭和レトロ商品博物館」ではケムンパスやベシが描かれた「青梅せんべい」が販売されていました。


【編集後記】

「青梅と青海」。お台場の青海(あおみ)駅に向かったつもりが、着いたのは約50キロ離れた青梅(おうめ)駅――。青海と青梅を間違える乗客が相次いでいるため、青梅駅では今年1月から改札口に注意を促す文書が掲示されました。特にお台場の青海駅近くのライブホール「Zepp Tokyo」に行くつもりだった乗客に目立ち、「大きなライブの日は間違って青梅駅に来る人が2~3人いる」そうです。字面や読みかたが似ているとはいえ、途中で気がつかないのかな。ライブハウスを探して青梅駅前をうろうろする人を想像すると気の毒だとは思うけど、なんとなく可笑しさがこみ上げてきます。

 回ったスポットの住所や営業時間やURL

1「昭和レトロ商品博物館」「青梅赤塚不二夫会館」
青梅市住江町66番地
TEL:0428-20-0355
開館時間:10:00~17:00
休館日:月曜日(祝日の場合は翌平日)
入館料:赤塚不二夫会館のみ450円、昭和レトロ商品博物館他3館めぐり800円
http://ome-akatsukafujio-museum.com/index.html
http://ome-akatsukafujio-museum.com/retoro/

2築300余年の酒蔵「澤乃井(小澤酒造)」
青梅市沢井2-770
酒蔵見学は1日4回 11:00/13:00/14:00/15:00 要予約
定休日:月曜日(祝日の場合は火曜日)、年末年始
TEL:0428-78-8210
http://www.sawanoi-sake.com/service/kengaku

3豆腐・ゆば懐石「ままごと屋」
青梅市沢井2-748
TEL:0428-78-9523
見学時間:11:00~17:00
定休日:月曜日(祝日の場合は火)・金曜日(祝日と11月は営業)、年末年始
http://www.mamagotoya102.com/

4天空の宿坊「御嶽山(みたけさん)」
青梅市御岳176
お問い合わせ:御岳山商店組合
http://mitakesan.com/kamei.html

5梅の里の和菓子「紅梅苑」
青梅市梅郷3丁目905-1
TEL:0428-76-1881
営業時間:9:30~17:00
定休日:月曜日(祝日の場合は営業)
https://www.koubaien.net/







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